「始めまして、松本真由香二十歳です、大我先生の彼女です」

真由香さんは相変わらず俺の彼女を押し通した。

「やだ、随分と若いのね、大我大丈夫なの、騙されないでね」

孝子は憎まれ口を叩いた。

お前に言われたくないと俺が口を挟む前に真由香さんは孝子に向かって言葉を発した。

「大我先生を騙したりしません、私、大我先生が大好きですから」

はっきりと大きな声で孝子に向かって、真由香さんは俺に対しての愛の告白をした。

店の中には大勢の客がいて、真由香さんの声にざわざわし始めた。

「真由香さん、もう行くよ」

俺は真由香さんの手を掴んで、ちょっと小走りにその場を離れた。

駐車場まで行くと、真由香さんの呼吸の乱れに気づいた。

「大丈夫か」

俺が全く呼吸が乱れていないのに、十歳も若い真由香さんの呼吸が乱れるなんて、俺は嫌な予感がした。

「真由香さん、普段からちょっと走ると息苦しくなったりするんじゃないか」

「大丈夫、大我先生が急に走り出すから」

明らかに呼吸が乱れている。