「先生、ほんと?真由香の事好きなの?」

「患者として心配しているだけです」

「先生、素直じゃないんだから」

「本当だよな、真由香、こんな堅物やめて俺にしないか」

最上、何言ってる、どさくさに紛れて口説いてるんじゃねえよ。

「駄目だ、とにかく最上は帰れ」

「わかったよ、これからお楽しみか」

「違う、真由香さんとは寝室は別だ」

「そう剥きになるな、本当に大我は生真面目なんだからな」

「最上がいい加減すぎるんだろう」

最上は俺の言葉を無視して真由香さんに話しかけた。

「真由香はいくつだ」

「二十歳よ」

「おい、犯罪だぞ」

「バカ言え、未成年じゃないし、親の許可を得ている」

「へえ、家族ぐるみの付き合いか」

「だから違うと言ってるだろう」

「ほら、あんまり大我が違うって言うから、真由香が落ち込んだぞ、今晩ぎゅっと抱いてやれ」

「そ、そんなことはしない」

最上は「じゃあな、張りきれよ、大我、真由香を喜ばしてやれ」そう言ってマンションを後にした。