意地の悪い最上がそう簡単に引き下がるわけはなく、俺がマンションに帰宅した後に奴はやってきた。

「ただいま、真由香さん?」

俺が帰宅した部屋は泥棒が入ったのではないかと思うくらいに物が散乱していた。

キッチンは真っ黒こげのフライパンと電子レンジが爆発したかのように悲惨な状態だった。

「どうしたんですか」

「先生、ごめんなさい、フライパンを焦がしちゃったの、それからアルミ箔で包み焼き作ろうとして電子レンジに入れたら、バチバチって火花が出て、もうびっくりしちゃって、洗濯物を畳もうとしてハンガーから外したんだけど、もう先生帰ってきちゃって……」

「そう言う事、まずアルミ箔は電子レンジに入れたら駄目ですよ、それからフライパンも水を入れないと焦げちゃうし、同時進行は真由香さんは苦手みたいだから、これからは一つ一つやった方がいいかもしれませんね」

「ごめんなさい」
「大丈夫、大丈夫」

俺は口ではそう言いながら、まじかよと呆れていた。

そんな時インターホンが鳴った。