「おまたせ」
寮の部屋で待機していると、アラム姉さんが帰ってきた。
アラム姉さんは顔が広い。
その人脈を使ってシャルロッテとフィアを探してもらったのだけど……
「……ごめんなさい、これといった情報はないわ」
「そうですか……」
続けて、エリゼとアリーシャが帰ってきた。
二人はシャルロッテとフィアとあまり面識はないものの、放っておくことはできないと協力を申し出てくれた。
ありがたい。
……こうして誰かのために行動する。
それは、とても大事なことなのかもしれない。
ふと、みんなを見てそう思うことができた。
「お兄ちゃん、ごめんなさい……」
「あたし達も……」
「そっか。うん、でも色々と調べてくれてありがとう」
シャルロッテとフィアのことは教師陣も把握している。
今は色々なところに確認をしている最中だろう。
それでも見つからないとなると、事件となる。
憲兵隊か、あるいは冒険者に依頼がされるだろう。
ただ……
それでも見つからないとしたら?
まったく手がかりを得られないとしたら?
悪い想像をしても仕方ないのだけど、心が乱されてしまう。
「そっか……俺、エリゼの時と同じように……」
ふと、気がついた。
昔、エリゼが倒れた時はひどく心配した。
そして、他人を心配する自分に驚いた。
あの時は、生まれた時から一緒に過ごしてきた妹だから、と思っていたのだけど……
今回は違う。
クラスメイトになって少し。
まだ間もないのだけど、それでも二人のことが心配だ。
エリゼの時と同じように、シャルロッテとフィアの身を案じる。
俺……変わってきているのかな?
「って、違う」
今はそんなことを考えている場合じゃない。
シャルロッテとフィアを見つけないと。
考えろ。
考えろ、レン・ストライン。
絶対に二人を無事に見つけるんだ。
「……アラム姉さん。それと、エリゼにアリーシャ。二人の情報はどれくらい得た? どこで見かけたとか、多少の情報は得たのか、それともまったく見かけていないっていう感じなのか」
「そうね……恥ずかしい話だけど、私はまったく手がかりを得ることができなかったわ」
「私達もです」
「気がつけば消えていたみたいで……神隠しみたい」
神隠しというのは、東の国に伝わる話だ。
ある日、人が突然消えてしまう。
神様の仕業としか考えられないから、神隠しと言われているらしい。
「本当に神様の仕業なんでしょうか……?」
「エリゼ、それは……」
「だとしても」
俺は強い決意を込めて言う。
「神様だろうがなんだろうが、友達に手を出したんだ。絶対に後悔させてやる」
「「「……」」」
ふと、みんなが目を大きくして驚いた。
「えっと……お兄ちゃん、怒っています?」
「あ、悪い。怖がらせたか?」
「いえ、大丈夫です。ただ……」
「レンがそこまで感情を見せるなんて珍しいから、驚いているのよ。ね、エリゼ?」
「はい」
「私も意外ね……私の弟はいつも冷静だと思っていたのだけど」
「俺も意外ですよ」
苦笑しつつ、言葉を続ける。
「とにかく、二人を絶対に見つけないといけません。たまたまハメを外している、という可能性もなくはないですけど……どうにも嫌な予感がします」
「でも、手がかりはゼロ。どうするの?」
「その、手がかりがまったくない、っていうところが気になります」
アラム姉さんの人脈を使っても情報を得ることはできない。
エリゼとアリーシャは、主に教師陣に話を聞いてきてもらったのだけど、やはり情報がない。
こんなことありえるのだろうか?
どこかに行くとしたら、普通、目撃証言が出てくるはずだ。
それがまったくないということは……
「たぶん、二人は誘拐されたんじゃないかと」
「誘拐? ずいぶんと物騒な話だけど……根拠はあるの?」
「ないですけど、消去法で考えていくそうなるんですよ。目撃情報はまったくないのは、どこかで誘拐されたから。馬車の荷物などに紛れ込ませて街を出た……そう考えると納得できます」
「確かに……」
「犯人かどうかわかりませんけど、最近、シャルロッテの父親を見かけたという話を聞きました。追放されたはずなのに、このタイミングでどうして王都にいるのか? 無関係ではないと思います」
「それが本当なら、すごく怪しいわね」
「ただ……」
細かい情報はある。
それらを積み重ねていくと、おぼろげながらも答えが見えてくる。
ただ、それはハッキリと映るものではない。
あくまでも推理と推測を積み重ねたもので、確かなものではない。
故に、二人の居場所もわからない。
そこに至る手がかりも、今のところはゼロだ。
「くそっ」
急がないといけない。
のんびりしていたら大変なことになってしまう。
そんな焦燥感を抱くのだけど、でも、現状は手詰まりだ。
いったい、どうすれば……?
「ピーッ!」
突然、ニーアが高く鳴いた。
寮の部屋で待機していると、アラム姉さんが帰ってきた。
アラム姉さんは顔が広い。
その人脈を使ってシャルロッテとフィアを探してもらったのだけど……
「……ごめんなさい、これといった情報はないわ」
「そうですか……」
続けて、エリゼとアリーシャが帰ってきた。
二人はシャルロッテとフィアとあまり面識はないものの、放っておくことはできないと協力を申し出てくれた。
ありがたい。
……こうして誰かのために行動する。
それは、とても大事なことなのかもしれない。
ふと、みんなを見てそう思うことができた。
「お兄ちゃん、ごめんなさい……」
「あたし達も……」
「そっか。うん、でも色々と調べてくれてありがとう」
シャルロッテとフィアのことは教師陣も把握している。
今は色々なところに確認をしている最中だろう。
それでも見つからないとなると、事件となる。
憲兵隊か、あるいは冒険者に依頼がされるだろう。
ただ……
それでも見つからないとしたら?
まったく手がかりを得られないとしたら?
悪い想像をしても仕方ないのだけど、心が乱されてしまう。
「そっか……俺、エリゼの時と同じように……」
ふと、気がついた。
昔、エリゼが倒れた時はひどく心配した。
そして、他人を心配する自分に驚いた。
あの時は、生まれた時から一緒に過ごしてきた妹だから、と思っていたのだけど……
今回は違う。
クラスメイトになって少し。
まだ間もないのだけど、それでも二人のことが心配だ。
エリゼの時と同じように、シャルロッテとフィアの身を案じる。
俺……変わってきているのかな?
「って、違う」
今はそんなことを考えている場合じゃない。
シャルロッテとフィアを見つけないと。
考えろ。
考えろ、レン・ストライン。
絶対に二人を無事に見つけるんだ。
「……アラム姉さん。それと、エリゼにアリーシャ。二人の情報はどれくらい得た? どこで見かけたとか、多少の情報は得たのか、それともまったく見かけていないっていう感じなのか」
「そうね……恥ずかしい話だけど、私はまったく手がかりを得ることができなかったわ」
「私達もです」
「気がつけば消えていたみたいで……神隠しみたい」
神隠しというのは、東の国に伝わる話だ。
ある日、人が突然消えてしまう。
神様の仕業としか考えられないから、神隠しと言われているらしい。
「本当に神様の仕業なんでしょうか……?」
「エリゼ、それは……」
「だとしても」
俺は強い決意を込めて言う。
「神様だろうがなんだろうが、友達に手を出したんだ。絶対に後悔させてやる」
「「「……」」」
ふと、みんなが目を大きくして驚いた。
「えっと……お兄ちゃん、怒っています?」
「あ、悪い。怖がらせたか?」
「いえ、大丈夫です。ただ……」
「レンがそこまで感情を見せるなんて珍しいから、驚いているのよ。ね、エリゼ?」
「はい」
「私も意外ね……私の弟はいつも冷静だと思っていたのだけど」
「俺も意外ですよ」
苦笑しつつ、言葉を続ける。
「とにかく、二人を絶対に見つけないといけません。たまたまハメを外している、という可能性もなくはないですけど……どうにも嫌な予感がします」
「でも、手がかりはゼロ。どうするの?」
「その、手がかりがまったくない、っていうところが気になります」
アラム姉さんの人脈を使っても情報を得ることはできない。
エリゼとアリーシャは、主に教師陣に話を聞いてきてもらったのだけど、やはり情報がない。
こんなことありえるのだろうか?
どこかに行くとしたら、普通、目撃証言が出てくるはずだ。
それがまったくないということは……
「たぶん、二人は誘拐されたんじゃないかと」
「誘拐? ずいぶんと物騒な話だけど……根拠はあるの?」
「ないですけど、消去法で考えていくそうなるんですよ。目撃情報はまったくないのは、どこかで誘拐されたから。馬車の荷物などに紛れ込ませて街を出た……そう考えると納得できます」
「確かに……」
「犯人かどうかわかりませんけど、最近、シャルロッテの父親を見かけたという話を聞きました。追放されたはずなのに、このタイミングでどうして王都にいるのか? 無関係ではないと思います」
「それが本当なら、すごく怪しいわね」
「ただ……」
細かい情報はある。
それらを積み重ねていくと、おぼろげながらも答えが見えてくる。
ただ、それはハッキリと映るものではない。
あくまでも推理と推測を積み重ねたもので、確かなものではない。
故に、二人の居場所もわからない。
そこに至る手がかりも、今のところはゼロだ。
「くそっ」
急がないといけない。
のんびりしていたら大変なことになってしまう。
そんな焦燥感を抱くのだけど、でも、現状は手詰まりだ。
いったい、どうすれば……?
「ピーッ!」
突然、ニーアが高く鳴いた。