フィアのいじめに関わり、事件を主導したと思われていた不審者。
アリーシャの話によると、そいつはシャルロッテの父親に似ているらしいが……
「それ、本当なのか?」
シャルロッテの話によると、彼女の父親は色々とやらかしたことで、辺境で軟禁されているはずだ。
王都に現れるわけがない。
ないのだけど……
なにも確認しないうちから、ありえない、と可能性を否定してはいけないな。
「噂だから、あたしもわからないわ」
「その噂はどこで?」
「この前、エリゼについてストライン家の本家にお邪魔したの。その時に」
本家で流れていた噂、っていうことか。
それは信憑性があるかもしれない。
基本、母さんはゴシップや適当な噂は嫌いだ。
そういうものは厳しく対処している。
それでも噂が流れているということは、それが本物である可能性が高い、ということになる。
「不審者がシャルロッテの父親……か」
その噂が正しいと仮定した場合、けっこうまずいことになるような……?
シャルロッテの父親の目的はわからないが、娘にちょっかいを出しているところを見ると、ロクなことを考えていないだろう。
放置しない方がいい。
というか、今すぐに対処した方がいい。
こんなに他人のことを気にするなんて……
俺、本当にどうしたんだろう?
「アリーシャ、悪い」
「え?」
「ちょっと用事を思い出した。買い物はまた今度にしてくれ」
「あっ、ちょ……レン!?」
アリーシャが非難するような声をあげるものの、俺は振り返らずに走る。
本当に申しわけない。
後でしっかり埋め合わせをしよう。
ただ……
今はシャルロッテのことが気になった。
――――――――――
寮に戻ってきた。
確か、シャルロッテの部屋はフィアと一緒で……
「ここか」
部屋の前に到着。
扉をノックする。
「……」
出ないな?
留守なのか?
もう一度、扉をノックする。
「……」
返事はない。
やはり留守なのだろうか?
ただ単に出かけているだけならいいんだけど、でも、そうじゃない場合は……
「あーもうっ、やっと追いついた!」
少し息を切らしたアリーシャがやってきた。
わざわざ追いかけてきたのだろう。
「もうっ、あたしと買い物がそんなに嫌なの?」
なぜか、ものすごく怒っていた。
いや。
怒っているというよりは拗ねている?
楽しみにしていたケーキを食べられず、ふくれっ面になっている子供のようだ。
なんだろう?
「えっと……買い物が嫌とかそういうわけじゃないんだ。ただ、シャルロッテとフィアのことが気になって」
「それで、ここに? 二人は?」
「留守みたいだ」
俺の言葉を受けて、アリーシャはドアノブを回してみた。
ガチャ、という音がして、鍵がかかっていることを教えてくれる。
「留守みたいね」
「そう言っただろう」
「なにをそんなに慌てているの? たまたま、二人で出かけているだけだと思うけど」
「それならいいんだけど……なにか嫌な予感がするんだ」
虫の知らせというべきか?
そんな感覚。
「レンがそんなものを気にするなんて意外ね」
「俺も驚いている。ただ……」
今は、この感覚を信じたい。
でないと、大変なことになってしまうような気がした。
「オッケー。そういうことなら二人を探してみましょう。もちろん、あたしも手伝うわ」
「いいのか? 買い物は?」
「買い物なんていつでもできるし、そもそも、あれはレンと一緒に……な、なんでもないわ」
なぜか一人で勝手に慌てていた。
「エリゼにも協力してもらいましょう。人手が多い方がいいわ」
「そうだな、声をかけてみる」
……こうして、俺とアリーシャとエリゼは、シャルロッテとフィアを探して街へ出た。
道行く人に話を聞いて。
色々な場所を見て回り。
二人に関する情報を集めるのだけど……
しかし、陽が暮れてもシャルロッテとフィアを見つけることはできないのだった。
アリーシャの話によると、そいつはシャルロッテの父親に似ているらしいが……
「それ、本当なのか?」
シャルロッテの話によると、彼女の父親は色々とやらかしたことで、辺境で軟禁されているはずだ。
王都に現れるわけがない。
ないのだけど……
なにも確認しないうちから、ありえない、と可能性を否定してはいけないな。
「噂だから、あたしもわからないわ」
「その噂はどこで?」
「この前、エリゼについてストライン家の本家にお邪魔したの。その時に」
本家で流れていた噂、っていうことか。
それは信憑性があるかもしれない。
基本、母さんはゴシップや適当な噂は嫌いだ。
そういうものは厳しく対処している。
それでも噂が流れているということは、それが本物である可能性が高い、ということになる。
「不審者がシャルロッテの父親……か」
その噂が正しいと仮定した場合、けっこうまずいことになるような……?
シャルロッテの父親の目的はわからないが、娘にちょっかいを出しているところを見ると、ロクなことを考えていないだろう。
放置しない方がいい。
というか、今すぐに対処した方がいい。
こんなに他人のことを気にするなんて……
俺、本当にどうしたんだろう?
「アリーシャ、悪い」
「え?」
「ちょっと用事を思い出した。買い物はまた今度にしてくれ」
「あっ、ちょ……レン!?」
アリーシャが非難するような声をあげるものの、俺は振り返らずに走る。
本当に申しわけない。
後でしっかり埋め合わせをしよう。
ただ……
今はシャルロッテのことが気になった。
――――――――――
寮に戻ってきた。
確か、シャルロッテの部屋はフィアと一緒で……
「ここか」
部屋の前に到着。
扉をノックする。
「……」
出ないな?
留守なのか?
もう一度、扉をノックする。
「……」
返事はない。
やはり留守なのだろうか?
ただ単に出かけているだけならいいんだけど、でも、そうじゃない場合は……
「あーもうっ、やっと追いついた!」
少し息を切らしたアリーシャがやってきた。
わざわざ追いかけてきたのだろう。
「もうっ、あたしと買い物がそんなに嫌なの?」
なぜか、ものすごく怒っていた。
いや。
怒っているというよりは拗ねている?
楽しみにしていたケーキを食べられず、ふくれっ面になっている子供のようだ。
なんだろう?
「えっと……買い物が嫌とかそういうわけじゃないんだ。ただ、シャルロッテとフィアのことが気になって」
「それで、ここに? 二人は?」
「留守みたいだ」
俺の言葉を受けて、アリーシャはドアノブを回してみた。
ガチャ、という音がして、鍵がかかっていることを教えてくれる。
「留守みたいね」
「そう言っただろう」
「なにをそんなに慌てているの? たまたま、二人で出かけているだけだと思うけど」
「それならいいんだけど……なにか嫌な予感がするんだ」
虫の知らせというべきか?
そんな感覚。
「レンがそんなものを気にするなんて意外ね」
「俺も驚いている。ただ……」
今は、この感覚を信じたい。
でないと、大変なことになってしまうような気がした。
「オッケー。そういうことなら二人を探してみましょう。もちろん、あたしも手伝うわ」
「いいのか? 買い物は?」
「買い物なんていつでもできるし、そもそも、あれはレンと一緒に……な、なんでもないわ」
なぜか一人で勝手に慌てていた。
「エリゼにも協力してもらいましょう。人手が多い方がいいわ」
「そうだな、声をかけてみる」
……こうして、俺とアリーシャとエリゼは、シャルロッテとフィアを探して街へ出た。
道行く人に話を聞いて。
色々な場所を見て回り。
二人に関する情報を集めるのだけど……
しかし、陽が暮れてもシャルロッテとフィアを見つけることはできないのだった。