俺とフィアは校舎内を。
シャルロッテとアリーシャのコンビは、校舎の外を。
それぞれ歩き回り、エリゼの偽物についての話を聞くことにした。
ちなみに、エリゼは留守番だ。
偽物のせいで、エリゼに悪感情を持つ人がいないとも限らないし……
無用なトラブルを避けるために、念の為、部室で待機になった。
「え、えっと……まずはどうしましょうか?」
「地道に聞き込みかな。その後で情報を整理して、なにかしら作戦を考えることにしよう」
「はい、わかりました」
というわけで、学院内を周り色々な人に話を聞いた。
同じクラスのガナスの人は気さくに話をしてくれたけど、シルカードやマーセナルの女の子たちには微妙な顔をされてしまった。
ただ、俺が学院で唯一の男ということが幸いして、最終的には話をしてくれた。
そして、一時間後。
ほどほどに話を聞いたところで、情報を整理する。
購買で買ったジュースを手に、中庭のベンチに座る。
「まず……ドッペルゲンガーというか、偽物はエリゼ以外にもいるっぽい。寮に帰ったはずの子を学院で見たとか、家に帰ったはずの友達が学位にいたとか、そんな話が多々出てきた」
「そ、それと……街の方で偽物が出た、という話は聞きませんでした。この学院の人に限られている、と思います」
「うん、そうだな。あとは……大した情報じゃないかもしれないが、やっぱり、偽物はクラス間の対立を煽るような悪口を口にして回っている、ってことか。改めて確認することができた」
「そうですね……あっ、そ、それと……ふと思ったんですけど、少しずつ範囲が広くなってきているような……?」
「え? それ、どういうこと?」
「え、えっとですね……マッピング<地図>」
フィアは魔法を使い、学院の地図を宙に投影した。
「ええっと……」
フィアは宙に投影した地図を順々に指差していく。
「完全な記録、というわけじゃないんですけど……さ、最初に偽物らしき人が現れたところはここ。次は、ここ。その次は……」
「……なるほど」
フィアの説明を聞いて、言いたいことがだんだんと理解できてきた。
最初に目撃されたと思われる偽物は、学院内。
そこから学院の屋上、中庭、裏手に広がり……
今は表門、裏門の方にまで広がっている。
行動範囲が広がっているのだ。
今はまだ、ギリギリ学院内に収まっているが……
このままだと、いずれ街にも出没するようになるかもしれない。
もちろん、これはただの推測だけど……
でも、規則性があるように思えるし、ほぼほぼ間違いないと思う。
仮定の話ではあるが……
このまま出現範囲が広がり、ドッペルゲンガーが街に出没するようになれば?
そいつらが他人になりすまして街を混乱に陥れたら?
そうなる前に、なんとかしないと。
「お手柄だな、フィア。よくこんなことに気づいたな」
「え、えへへ……な、なんとなく閃いて。わたし、レン君の役に立つことができましたか?」
「もちろんだ」
「よ、よかったです」
フィアがふにゃりと笑う。
敵の行動を予測することができて、そんなに嬉しかったのだろうか?
「ただ、これだけだとちょっと情報不足だな……街にまで出没するかもしれないけど、でも、確定じゃないし」
「そう、ですね。で、でもでも、みんなの情報と組み合わせれば、次の出現位置を予測することができるかもしれません」
「そうだな。もうちょっと聞き込みをしてから、みんなと合流するか」
今後の方針を決めたところで、飲み終えたジュースの紙コップをゴミ箱に捨てた。
立ち上がり、再び聞き込みを再開しようと……
「やあ」
どこからともなくメルが現れた。
神出鬼没だ。
今までどこにいたのやら。
「どうしたの?」
「それは俺の台詞だ。今日、どうして部室に来なかったんだ? わりと大事な話をしていたのに」
「ごめんごめん」
「まったく……まあ、ちょうどいいや。これから聞き込みを再開するところだから、メルも一緒に……」
「レン!」
メルは前にいるのに、なぜか、後ろからメルの声が聞こえてきた。
「そいつから離れるんだ!」
振り返ると……二人目のメルがいた。
シャルロッテとアリーシャのコンビは、校舎の外を。
それぞれ歩き回り、エリゼの偽物についての話を聞くことにした。
ちなみに、エリゼは留守番だ。
偽物のせいで、エリゼに悪感情を持つ人がいないとも限らないし……
無用なトラブルを避けるために、念の為、部室で待機になった。
「え、えっと……まずはどうしましょうか?」
「地道に聞き込みかな。その後で情報を整理して、なにかしら作戦を考えることにしよう」
「はい、わかりました」
というわけで、学院内を周り色々な人に話を聞いた。
同じクラスのガナスの人は気さくに話をしてくれたけど、シルカードやマーセナルの女の子たちには微妙な顔をされてしまった。
ただ、俺が学院で唯一の男ということが幸いして、最終的には話をしてくれた。
そして、一時間後。
ほどほどに話を聞いたところで、情報を整理する。
購買で買ったジュースを手に、中庭のベンチに座る。
「まず……ドッペルゲンガーというか、偽物はエリゼ以外にもいるっぽい。寮に帰ったはずの子を学院で見たとか、家に帰ったはずの友達が学位にいたとか、そんな話が多々出てきた」
「そ、それと……街の方で偽物が出た、という話は聞きませんでした。この学院の人に限られている、と思います」
「うん、そうだな。あとは……大した情報じゃないかもしれないが、やっぱり、偽物はクラス間の対立を煽るような悪口を口にして回っている、ってことか。改めて確認することができた」
「そうですね……あっ、そ、それと……ふと思ったんですけど、少しずつ範囲が広くなってきているような……?」
「え? それ、どういうこと?」
「え、えっとですね……マッピング<地図>」
フィアは魔法を使い、学院の地図を宙に投影した。
「ええっと……」
フィアは宙に投影した地図を順々に指差していく。
「完全な記録、というわけじゃないんですけど……さ、最初に偽物らしき人が現れたところはここ。次は、ここ。その次は……」
「……なるほど」
フィアの説明を聞いて、言いたいことがだんだんと理解できてきた。
最初に目撃されたと思われる偽物は、学院内。
そこから学院の屋上、中庭、裏手に広がり……
今は表門、裏門の方にまで広がっている。
行動範囲が広がっているのだ。
今はまだ、ギリギリ学院内に収まっているが……
このままだと、いずれ街にも出没するようになるかもしれない。
もちろん、これはただの推測だけど……
でも、規則性があるように思えるし、ほぼほぼ間違いないと思う。
仮定の話ではあるが……
このまま出現範囲が広がり、ドッペルゲンガーが街に出没するようになれば?
そいつらが他人になりすまして街を混乱に陥れたら?
そうなる前に、なんとかしないと。
「お手柄だな、フィア。よくこんなことに気づいたな」
「え、えへへ……な、なんとなく閃いて。わたし、レン君の役に立つことができましたか?」
「もちろんだ」
「よ、よかったです」
フィアがふにゃりと笑う。
敵の行動を予測することができて、そんなに嬉しかったのだろうか?
「ただ、これだけだとちょっと情報不足だな……街にまで出没するかもしれないけど、でも、確定じゃないし」
「そう、ですね。で、でもでも、みんなの情報と組み合わせれば、次の出現位置を予測することができるかもしれません」
「そうだな。もうちょっと聞き込みをしてから、みんなと合流するか」
今後の方針を決めたところで、飲み終えたジュースの紙コップをゴミ箱に捨てた。
立ち上がり、再び聞き込みを再開しようと……
「やあ」
どこからともなくメルが現れた。
神出鬼没だ。
今までどこにいたのやら。
「どうしたの?」
「それは俺の台詞だ。今日、どうして部室に来なかったんだ? わりと大事な話をしていたのに」
「ごめんごめん」
「まったく……まあ、ちょうどいいや。これから聞き込みを再開するところだから、メルも一緒に……」
「レン!」
メルは前にいるのに、なぜか、後ろからメルの声が聞こえてきた。
「そいつから離れるんだ!」
振り返ると……二人目のメルがいた。


