「……」
息を潜め、物陰から街の入り口を見る。
エリゼ、アラム姉さん、アリーシャ。
そして、シャルロッテとフィア。
メルが言うように、確かにみんなの姿があった。
ただ、入り口で足止めをされている。
神隠しの件があるから、街に入る許可が降りないのだろう。
あ。
シャルロッテがとてもイライラした様子で、つま先で地面を叩いていた。
衛兵を魔法で吹き飛ばしたりしないだろうか?
……しないよな?
「なんで、みんなが……」
「レンを追いかけてきたんじゃないかな?」
「俺を?」
「黙って姿を消した。どこに行った? 気になる? よし、なら追いかけよう! っていう感じで」
「そんな短絡的なことをするわけが……」
……ない、とも言い切れないのが頭が痛い。
エリゼとアラム姉さんは、基本、賢くて思慮深い。
短絡的な行動を取ることはないのだけど……
俺のことになると枷が外れるらしく、けっこうな無茶をする。
それはシャルロッテも同じ。
気の強い彼女は、納得できないことはとことん追求するタイプだろう。
フィアはそうでもないのだけど……
シャルロッテのために、と手伝うことにしたのだろう。
「まいったな」
みんなを巻き込みたくないから秘密にしておいたのに。
追いかけてきたら、その意味がない。
「どうするんだい? 彼女達が一緒にいたら、荒事になった時、まずいことになるかもしれないよ」
「そうかもだけど……目を離している方が不安、っていう気持ちもあるんだよな」
みんなを守る、っていうと偉そうなのだけど……
なにか起きた時、一緒にいることで、俺にできることはあると思う。
とはいえ、ここで一緒に行動するということは神隠しの調査を一緒にするというわけで……
危険に巻き込んでしまうわけで……
「……ひとまず、俺達のことは秘密にしておこう」
「接触はしない?」
「しない」
たぶん、一緒に調査をする方が危険だろう。
事件の中心に近づいていくわけだから、当たり前の話だけど危険性は高い。
それなら一緒に行動しない方がいい。
どうなるかわからない、という読めない部分はあるけれど……
少なくとも、事件に大きく近づくことはないと思う。
できるだけ早く調査を進めて。
そして、神隠しを解決して。
そうすればみんなに危害が及ぶことはない。
また一つ、事件を解決しなければいけない理由が増えた。
「……」
メルはなにか言いたそうな顔だ。
「なにか?」
「……いいや、なにも。キミがそう決めたのなら、ボクは口を挟まないよ」
なんてことを口にするのだけど、メルは納得していない様子だ。
言いたいことがあれば、ハッキリ言ってくれて構わないのだけど……
「……はぁ」
なんか、もう。
色々なことがうまくいかないな。
頭が痛い。
相手がただの犯罪者なら、みんなに協力をお願いしていただろう。
でも、違う。
ただの勘でしかないけれど、神隠しはただの事件じゃない。
もしかしたら魔王が関わっているかもしれない。
だとしたら、絶対にみんなを関わらせるわけにはいかない。
これは、俺の問題だ。
前世でヤツを取り逃がして、倒すことができなかった俺の責任だ。
それをみんなにも負わせてしまうのは間違い以外の何者でもない。
俺が解決しないといけない。
俺が……やらないといけないんだ、絶対に。
「レンは、色々と損な性格をしているよね」
「……なんのことだよ?」
「さあ、なんだろうね」
メルはニヤリと笑い、こちらに背を向けてしまう。
関わらないのなら、さっさとここを離れよう、と言いたいのだろう。
俺はその背中を追い……
「ピッ」
ニーアの鳴き声が聞こえて、振り返る。
……ニーアとばっちり視線が合う。
ただ、それ以上鳴くことはなくて、ニーアはふいっと視線を戻してしまった。
みんなに俺のことを伝える様子もない。
「なんかもう……ニーアにまで色々と言われている気分だな」
ついつい苦笑してしまうのだった。
息を潜め、物陰から街の入り口を見る。
エリゼ、アラム姉さん、アリーシャ。
そして、シャルロッテとフィア。
メルが言うように、確かにみんなの姿があった。
ただ、入り口で足止めをされている。
神隠しの件があるから、街に入る許可が降りないのだろう。
あ。
シャルロッテがとてもイライラした様子で、つま先で地面を叩いていた。
衛兵を魔法で吹き飛ばしたりしないだろうか?
……しないよな?
「なんで、みんなが……」
「レンを追いかけてきたんじゃないかな?」
「俺を?」
「黙って姿を消した。どこに行った? 気になる? よし、なら追いかけよう! っていう感じで」
「そんな短絡的なことをするわけが……」
……ない、とも言い切れないのが頭が痛い。
エリゼとアラム姉さんは、基本、賢くて思慮深い。
短絡的な行動を取ることはないのだけど……
俺のことになると枷が外れるらしく、けっこうな無茶をする。
それはシャルロッテも同じ。
気の強い彼女は、納得できないことはとことん追求するタイプだろう。
フィアはそうでもないのだけど……
シャルロッテのために、と手伝うことにしたのだろう。
「まいったな」
みんなを巻き込みたくないから秘密にしておいたのに。
追いかけてきたら、その意味がない。
「どうするんだい? 彼女達が一緒にいたら、荒事になった時、まずいことになるかもしれないよ」
「そうかもだけど……目を離している方が不安、っていう気持ちもあるんだよな」
みんなを守る、っていうと偉そうなのだけど……
なにか起きた時、一緒にいることで、俺にできることはあると思う。
とはいえ、ここで一緒に行動するということは神隠しの調査を一緒にするというわけで……
危険に巻き込んでしまうわけで……
「……ひとまず、俺達のことは秘密にしておこう」
「接触はしない?」
「しない」
たぶん、一緒に調査をする方が危険だろう。
事件の中心に近づいていくわけだから、当たり前の話だけど危険性は高い。
それなら一緒に行動しない方がいい。
どうなるかわからない、という読めない部分はあるけれど……
少なくとも、事件に大きく近づくことはないと思う。
できるだけ早く調査を進めて。
そして、神隠しを解決して。
そうすればみんなに危害が及ぶことはない。
また一つ、事件を解決しなければいけない理由が増えた。
「……」
メルはなにか言いたそうな顔だ。
「なにか?」
「……いいや、なにも。キミがそう決めたのなら、ボクは口を挟まないよ」
なんてことを口にするのだけど、メルは納得していない様子だ。
言いたいことがあれば、ハッキリ言ってくれて構わないのだけど……
「……はぁ」
なんか、もう。
色々なことがうまくいかないな。
頭が痛い。
相手がただの犯罪者なら、みんなに協力をお願いしていただろう。
でも、違う。
ただの勘でしかないけれど、神隠しはただの事件じゃない。
もしかしたら魔王が関わっているかもしれない。
だとしたら、絶対にみんなを関わらせるわけにはいかない。
これは、俺の問題だ。
前世でヤツを取り逃がして、倒すことができなかった俺の責任だ。
それをみんなにも負わせてしまうのは間違い以外の何者でもない。
俺が解決しないといけない。
俺が……やらないといけないんだ、絶対に。
「レンは、色々と損な性格をしているよね」
「……なんのことだよ?」
「さあ、なんだろうね」
メルはニヤリと笑い、こちらに背を向けてしまう。
関わらないのなら、さっさとここを離れよう、と言いたいのだろう。
俺はその背中を追い……
「ピッ」
ニーアの鳴き声が聞こえて、振り返る。
……ニーアとばっちり視線が合う。
ただ、それ以上鳴くことはなくて、ニーアはふいっと視線を戻してしまった。
みんなに俺のことを伝える様子もない。
「なんかもう……ニーアにまで色々と言われている気分だな」
ついつい苦笑してしまうのだった。