「……と、いうわけで。俺、明日から1週間、学院を休むから」
朝食の席で、一緒したエリゼとアラム姉さんにそう伝えた。
昔、友好を温めた友達が厄介事に巻き込まれ、困っているらしい。
そんな手紙を受け取り、放置することはできない。
彼のところに向かい、力になることを約束した。
……なんて嘘を吐いたのだ。
「その友達のために1週間も学院を休むなんて……むー。そもそも、お兄ちゃんにそんな友達いるんですか? 昔は一人で過ごしていましたよね?」
「昔のレンは魔法のことばかり考えていて、友達なんて作っていないはずだったのだけれど……そんなレンに、大事な友達が?」
……ディスられている?
「いやいや。俺にだって、昔からの友達の一人や二人、いるよ」
「ずっとお兄ちゃんを見てきた私は知らないです」
エリゼの場合、本当にずっと俺を見ているから困る。
わりと穴のある話なんだけど……
でも、他に適当な説明がないんだよな。
下手な嘘を吐けば、二人が相手だとすぐにバレてしまう。
完璧な嘘を吐いても、勘の鋭い二人には通用しないだろう。
だから、穴はあるけれど、実際に確かめようのない設定にしたのだ。
「その友達って、女の子ですか?」
「彼って言っただろう? 男だよ」
「それなら、まあ」
納得のポイントがズレていないか、妹よ。
「んー……」
「アラム姉さん?」
「本当にそれだけ? レンは、なにか他に大事なことを隠していない?」
「……どうして、そうなるんですか」
「お姉ちゃんの勘」
最近、アラム姉さんもエリゼのようなことを言うんだよな。
しかも、その勘は外れていないから困る。
「あら、ストライン君」
そのまま話をしていると、ローラ先生が通りかかる。
教師も寮を使うことができる。
ローラ先生も教員棟で過ごしているため、朝食などの時間帯は、食堂などで会うことはわりと多い。
「おはよう」
「おはようございます」
「明日から1週間、休みなのよね?」
「はい。ご迷惑かけます」
「いいわ。友達のためっていうのなら仕方ないもの。ただ、その分、後で宿題を出すからね?」
「うへぇ……わかりました」
「じゃあ、がんばっていらっしゃい」
ローラ先生は微笑みつつ、食堂を後にした。
すでに食事は終えていたみたいだ。
「……」
エリゼはどこか不思議そうな顔で、ローラ先生の後ろ姿を見ている。
「どうしたんだ?」
「いえ……どこかで会ったような気がしまして」
「まあ、教師だからな。学年が違うとしても、廊下ですれ違うことくらいはあるだろ」
「そうでしょうか……?」
「それよりも、レン」
アラム姉さんが、ぐいっと距離をつめてきた。
「私はまだ、さっきの話に納得したわけじゃないわよ」
「あっ、そうです。私もです!」
「えっと……」
……その後。
あれこれと問い詰められながらも、なんとか二人を納得させることができた。
年頃の姉妹って難しい……
――――――――――
そして、翌日。
俺は荷物をまとめた大きめの鞄を背負い、寮を後にする。
街の中央から離れたところで、メルを発見。
「やっほー」
「おはよう……本当についてくるつもりか?」
「もちろん」
今回の調査、俺一人で行うつもりだったのだけど……
一人は大変だろうと、メルが無理矢理ついてくることに。
断ればエリゼ達に全部バラす、と脅されたので、仕方なく許可した。
「ボク、けっこう尽くすタイプだよ?」
「そこは、役に立つだろ」
「似たようなものじゃん」
「はあ……まあ、いいか」
前世を知るメルなら、ギリギリ許容範囲だ。
調査を手伝ってもらうくらいなら問題ないだろう。
「そろそろ馬車の時間だ。行こう」
「最初はどこに行くんだっけ?」
「マーテリアのところだ」
朝食の席で、一緒したエリゼとアラム姉さんにそう伝えた。
昔、友好を温めた友達が厄介事に巻き込まれ、困っているらしい。
そんな手紙を受け取り、放置することはできない。
彼のところに向かい、力になることを約束した。
……なんて嘘を吐いたのだ。
「その友達のために1週間も学院を休むなんて……むー。そもそも、お兄ちゃんにそんな友達いるんですか? 昔は一人で過ごしていましたよね?」
「昔のレンは魔法のことばかり考えていて、友達なんて作っていないはずだったのだけれど……そんなレンに、大事な友達が?」
……ディスられている?
「いやいや。俺にだって、昔からの友達の一人や二人、いるよ」
「ずっとお兄ちゃんを見てきた私は知らないです」
エリゼの場合、本当にずっと俺を見ているから困る。
わりと穴のある話なんだけど……
でも、他に適当な説明がないんだよな。
下手な嘘を吐けば、二人が相手だとすぐにバレてしまう。
完璧な嘘を吐いても、勘の鋭い二人には通用しないだろう。
だから、穴はあるけれど、実際に確かめようのない設定にしたのだ。
「その友達って、女の子ですか?」
「彼って言っただろう? 男だよ」
「それなら、まあ」
納得のポイントがズレていないか、妹よ。
「んー……」
「アラム姉さん?」
「本当にそれだけ? レンは、なにか他に大事なことを隠していない?」
「……どうして、そうなるんですか」
「お姉ちゃんの勘」
最近、アラム姉さんもエリゼのようなことを言うんだよな。
しかも、その勘は外れていないから困る。
「あら、ストライン君」
そのまま話をしていると、ローラ先生が通りかかる。
教師も寮を使うことができる。
ローラ先生も教員棟で過ごしているため、朝食などの時間帯は、食堂などで会うことはわりと多い。
「おはよう」
「おはようございます」
「明日から1週間、休みなのよね?」
「はい。ご迷惑かけます」
「いいわ。友達のためっていうのなら仕方ないもの。ただ、その分、後で宿題を出すからね?」
「うへぇ……わかりました」
「じゃあ、がんばっていらっしゃい」
ローラ先生は微笑みつつ、食堂を後にした。
すでに食事は終えていたみたいだ。
「……」
エリゼはどこか不思議そうな顔で、ローラ先生の後ろ姿を見ている。
「どうしたんだ?」
「いえ……どこかで会ったような気がしまして」
「まあ、教師だからな。学年が違うとしても、廊下ですれ違うことくらいはあるだろ」
「そうでしょうか……?」
「それよりも、レン」
アラム姉さんが、ぐいっと距離をつめてきた。
「私はまだ、さっきの話に納得したわけじゃないわよ」
「あっ、そうです。私もです!」
「えっと……」
……その後。
あれこれと問い詰められながらも、なんとか二人を納得させることができた。
年頃の姉妹って難しい……
――――――――――
そして、翌日。
俺は荷物をまとめた大きめの鞄を背負い、寮を後にする。
街の中央から離れたところで、メルを発見。
「やっほー」
「おはよう……本当についてくるつもりか?」
「もちろん」
今回の調査、俺一人で行うつもりだったのだけど……
一人は大変だろうと、メルが無理矢理ついてくることに。
断ればエリゼ達に全部バラす、と脅されたので、仕方なく許可した。
「ボク、けっこう尽くすタイプだよ?」
「そこは、役に立つだろ」
「似たようなものじゃん」
「はあ……まあ、いいか」
前世を知るメルなら、ギリギリ許容範囲だ。
調査を手伝ってもらうくらいなら問題ないだろう。
「そろそろ馬車の時間だ。行こう」
「最初はどこに行くんだっけ?」
「マーテリアのところだ」