これから現われるであろう。
あるいは、すでに姿を見せているであろう犯人を突き止めるため、独自に見回りを行うことにした。
本当は、先生達にも協力を得られたらいいのだけど……
確かな証拠がないため、協力を得るのは難しいだろう。
俺達だけでやるしかない。
「ふむ……レン、こちらは問題ないわ」
「了解です。次へ行きましょう」
俺は、アラム姉さんと一緒に夜の校舎に忍び込み、教室を一つ一つ見て回っていた。
魔法陣を仕掛けている犯人と遭遇するかもしれない。
いざという時に備えて、二人一組で回っている。
エリゼとアリーシャは、学院の敷地内を。
シャルロッテとフィアは、学院近くの外を。
そして、俺とアラム姉さんは校舎の中だ。
「レンを疑うわけじゃないけど、こんな時間に魔法陣なんて設置するのかしら?」
「明日は人が今まで以上にやってくるから、難しいと思います。やるなら今夜です」
「そう……うん、それもそうね」
「でも」と間を挟んで、アラム姉さんがこちらにジト目を向ける。
「こんな危なそうなことを一人でしようとしていたなんて」
「う……ご、ごめんなさい」
「まったく、この子は……」
アラム姉さんは、困ったような感じで吐息をこぼして。
それから、ぎゅっと俺を抱きしめる。
「あ、アラム姉さん?」
「あまり心配させないでちょうだい。レンは大事な弟。あなたになにかあったら、私は……」
「……ごめんなさい」
本当に申しわけないと思った。
ただ、それと同時に嬉しく思った。
前世と違い、俺は一人じゃない。
大事な家族がいて、大事な友達がいる。
身勝手な行動をするのではなくて、みんなのことも考えないと。
反省しつつ……
でも、みんながいることの嬉しさを噛み締めた。
「っ」
それを感じて、俺は慌ててアラム姉さんから離れた。
「レン?」
「今、魔力を感じました」
「じゃあ、魔法陣が……」
「たぶん。こっちです」
魔力を感じたのは最上階だ。
最上階は、図書室や音楽室などが並んでいるけど……
「この奥……図書室から魔力を感じます」
「ええ。私でもわかるわ」
図書室の前に潜み、様子を窺う。
夜は施錠されているはずなのに、扉が開いていた。
部屋の中で明かりが漏れているのが見える。
ちらほらと人影も見えるのだけど……
ここからだとよく見えず、はっきりとはわからない。
「レン、突入しましょう」
「え!?」
アラム姉さんにしては大胆な案だった。
「図書室の入り口は一つ。私達が入り口を押さえれば、簡単には逃げられないはずよ。まあ、窓から逃げられるかもしれないけど……でも、多少の時間はかかる」
「なるほど。逃げられたとしても、姿を確認することはできる、っていうわけですね」
「さすがレンね、理解が早くて助かるわ」
アラム姉さんの策で行こう。
指でカウントダウンを取り……
0になった瞬間、同時に図書室に突入する。
「誰!?」
中にいた人影が振り返る。
その姿は……メル・ティアーズだった。
――――――――――
夜の図書室。
メルが生み出したものなのか、淡い光を放つ光球がふわふわと奥に浮いている。
そんな中、俺とアラム姉さんはメルと対峙した。
彼女の後ろには魔法陣が展開されている。
起動前らしく、まだ輝いていない。
そして、その魔法陣は生成されたばかりであることが窺えた。
生成されたばかりの魔法陣は、これ以上ないほど形がハッキリしてて、発動前だとしてもわずかに魔力をまとっているのだ。
そして、この場にメルがいる。
「確定だな」
犯人は特定した。
ならば、次はその目的を調べないといけない。
「メル。どうして、こんなことを……」
「こんなこと? それはボクの台詞だよ」
「え?」
「こういうの、なんだっけ? えっと……そうそう、飛んで火にいる夏の虫、っていうんだよね。東の国では」
「なにを言って……」
「本当は魔法大会で、と思っていたんだけど……そっちがその気なら、ここで決着をつけようか」
ちょっと待て。
メルの様子がおかしい。
もしかして俺は、思い違いをしているのでは……?
「いくよ!」
ただ、それを正すよりも先にメルが襲いかかってきた。
あるいは、すでに姿を見せているであろう犯人を突き止めるため、独自に見回りを行うことにした。
本当は、先生達にも協力を得られたらいいのだけど……
確かな証拠がないため、協力を得るのは難しいだろう。
俺達だけでやるしかない。
「ふむ……レン、こちらは問題ないわ」
「了解です。次へ行きましょう」
俺は、アラム姉さんと一緒に夜の校舎に忍び込み、教室を一つ一つ見て回っていた。
魔法陣を仕掛けている犯人と遭遇するかもしれない。
いざという時に備えて、二人一組で回っている。
エリゼとアリーシャは、学院の敷地内を。
シャルロッテとフィアは、学院近くの外を。
そして、俺とアラム姉さんは校舎の中だ。
「レンを疑うわけじゃないけど、こんな時間に魔法陣なんて設置するのかしら?」
「明日は人が今まで以上にやってくるから、難しいと思います。やるなら今夜です」
「そう……うん、それもそうね」
「でも」と間を挟んで、アラム姉さんがこちらにジト目を向ける。
「こんな危なそうなことを一人でしようとしていたなんて」
「う……ご、ごめんなさい」
「まったく、この子は……」
アラム姉さんは、困ったような感じで吐息をこぼして。
それから、ぎゅっと俺を抱きしめる。
「あ、アラム姉さん?」
「あまり心配させないでちょうだい。レンは大事な弟。あなたになにかあったら、私は……」
「……ごめんなさい」
本当に申しわけないと思った。
ただ、それと同時に嬉しく思った。
前世と違い、俺は一人じゃない。
大事な家族がいて、大事な友達がいる。
身勝手な行動をするのではなくて、みんなのことも考えないと。
反省しつつ……
でも、みんながいることの嬉しさを噛み締めた。
「っ」
それを感じて、俺は慌ててアラム姉さんから離れた。
「レン?」
「今、魔力を感じました」
「じゃあ、魔法陣が……」
「たぶん。こっちです」
魔力を感じたのは最上階だ。
最上階は、図書室や音楽室などが並んでいるけど……
「この奥……図書室から魔力を感じます」
「ええ。私でもわかるわ」
図書室の前に潜み、様子を窺う。
夜は施錠されているはずなのに、扉が開いていた。
部屋の中で明かりが漏れているのが見える。
ちらほらと人影も見えるのだけど……
ここからだとよく見えず、はっきりとはわからない。
「レン、突入しましょう」
「え!?」
アラム姉さんにしては大胆な案だった。
「図書室の入り口は一つ。私達が入り口を押さえれば、簡単には逃げられないはずよ。まあ、窓から逃げられるかもしれないけど……でも、多少の時間はかかる」
「なるほど。逃げられたとしても、姿を確認することはできる、っていうわけですね」
「さすがレンね、理解が早くて助かるわ」
アラム姉さんの策で行こう。
指でカウントダウンを取り……
0になった瞬間、同時に図書室に突入する。
「誰!?」
中にいた人影が振り返る。
その姿は……メル・ティアーズだった。
――――――――――
夜の図書室。
メルが生み出したものなのか、淡い光を放つ光球がふわふわと奥に浮いている。
そんな中、俺とアラム姉さんはメルと対峙した。
彼女の後ろには魔法陣が展開されている。
起動前らしく、まだ輝いていない。
そして、その魔法陣は生成されたばかりであることが窺えた。
生成されたばかりの魔法陣は、これ以上ないほど形がハッキリしてて、発動前だとしてもわずかに魔力をまとっているのだ。
そして、この場にメルがいる。
「確定だな」
犯人は特定した。
ならば、次はその目的を調べないといけない。
「メル。どうして、こんなことを……」
「こんなこと? それはボクの台詞だよ」
「え?」
「こういうの、なんだっけ? えっと……そうそう、飛んで火にいる夏の虫、っていうんだよね。東の国では」
「なにを言って……」
「本当は魔法大会で、と思っていたんだけど……そっちがその気なら、ここで決着をつけようか」
ちょっと待て。
メルの様子がおかしい。
もしかして俺は、思い違いをしているのでは……?
「いくよ!」
ただ、それを正すよりも先にメルが襲いかかってきた。