控え室でいつもの検査が問題なく終了した。
これで今日の試合は終了。
明日は、第三、第四……そしてうまくいけば、準決勝だ。
控え室を出ると、先に検査を終えていたらしくシャルロッテの姿があった。
「遅かったわね」
「どうしたんだ?」
「えっと、その……よくやったわね!」
「うん?」
褒められている……のか?
「わたくしと戦い、まさか勝ってしまうなんて。まあまあですわね。褒めてさしあげますわ!」
「前にも勝ってるけど」
「うぐっ」
言ってはいけない一言だったらしく、シャルロッテが涙目になる。
意外と、平時のメンタルは脆いんだよな。
ふと、彼女の影に隠れていたフィアが出る。
「えっと……お嬢様は、レン君との試合を称えたくて」
「そうなの?」
「はい。お嬢様は負けてしまいましたが、でも、レン君がすごいって言っていて……」
「ふぃ、フィア!? デタラメを言わないでくれません!?」
「えぇ。でも、確かにさっき……」
「わ、わたくしはそのようなことは言いませんわ! ふんっ、いきますわよ」
「あ、お嬢様?!」
シャルロッテとフィアが立ち去る。
「えっと……」
苦笑した。
たぶん、フィアの言う通りなのだろう。
「素直じゃないヤツだな」
でも、最初会った時と比べると、だいぶ丸くなった方なのかな?
男嫌いも多少、緩和されたみたいだし。
「明日に備えて今日は休もう……って、そうできたらいいんだけどな」
純粋に魔法大会を楽しみたいが、そういうわけにもいかない。
何者かが、大会の裏で妙な魔法陣を設置して、軽い地震を引き起こしている。
その犯人がメルかもしれない。
放っておけない。
「先生に報告してもいいんだけど……いや、ダメか。証拠がまるでない」
もう少し、独自で調査をしなければいけないだろう。
とはいえ、一人じゃない。
ハンナが協力してくれている。
いざという時はエリゼやアリーシャ。
シャルロッテやフィアに……
「……いや、ダメだ」
みんなを巻き込みたくない。
下手をしたら危険なことになるだろうから、俺がやるべきだ。
「できればハンナも安全なところにいてほしいんだけど、彼女はもう知っちゃったからなあ」
できる限り、俺が前に出て危険なことを担当しよう。
「……ん?」
ふと、妙な魔力を感じた。
すぐ近くでもなくて、すごく遠くというわけじゃない。
中間の距離。
「学院内だな」
会場を後にして校舎に向かう。
魔力の流れを辿り、中等部の校舎へ。
そこからさらに、今は使われていないらしい空き教室へ移動した。
「これは……」
例の魔法陣が設置されていた。
淡い光を放ち、まだ稼働中であることを示している。
ただ、本格的に効果は発動していないみたいだ。
たぶん、力を貯めている最中なのだろう。
このまましばらく放置すれば魔法が発動して、また地震が起きるのだろう。
「本当ならメモ帳なんかにしっかりと記録を残しておきたいんだけど」
その間に魔法が発動したらまずい。
発動はしばらく先と見ているものの、その見立てが間違っている場合もある。
じっと見て、頭に記憶。
それから魔法陣に手を添えて、魔力を流して効果を阻害。
ビシッ!
鈍い音と共に魔法陣の一部が欠けて、光が消えていく。
破壊、成功。
放っておけば全体も消えて、完全に効果がなくなるだろう。
「大会中も動いていたか。これ、やっぱり……」
「あれ? こんなところでなにをしているの?」
ちょうど頭に思い浮かべていた人物……メルが空き教室に姿を見せた。
これで今日の試合は終了。
明日は、第三、第四……そしてうまくいけば、準決勝だ。
控え室を出ると、先に検査を終えていたらしくシャルロッテの姿があった。
「遅かったわね」
「どうしたんだ?」
「えっと、その……よくやったわね!」
「うん?」
褒められている……のか?
「わたくしと戦い、まさか勝ってしまうなんて。まあまあですわね。褒めてさしあげますわ!」
「前にも勝ってるけど」
「うぐっ」
言ってはいけない一言だったらしく、シャルロッテが涙目になる。
意外と、平時のメンタルは脆いんだよな。
ふと、彼女の影に隠れていたフィアが出る。
「えっと……お嬢様は、レン君との試合を称えたくて」
「そうなの?」
「はい。お嬢様は負けてしまいましたが、でも、レン君がすごいって言っていて……」
「ふぃ、フィア!? デタラメを言わないでくれません!?」
「えぇ。でも、確かにさっき……」
「わ、わたくしはそのようなことは言いませんわ! ふんっ、いきますわよ」
「あ、お嬢様?!」
シャルロッテとフィアが立ち去る。
「えっと……」
苦笑した。
たぶん、フィアの言う通りなのだろう。
「素直じゃないヤツだな」
でも、最初会った時と比べると、だいぶ丸くなった方なのかな?
男嫌いも多少、緩和されたみたいだし。
「明日に備えて今日は休もう……って、そうできたらいいんだけどな」
純粋に魔法大会を楽しみたいが、そういうわけにもいかない。
何者かが、大会の裏で妙な魔法陣を設置して、軽い地震を引き起こしている。
その犯人がメルかもしれない。
放っておけない。
「先生に報告してもいいんだけど……いや、ダメか。証拠がまるでない」
もう少し、独自で調査をしなければいけないだろう。
とはいえ、一人じゃない。
ハンナが協力してくれている。
いざという時はエリゼやアリーシャ。
シャルロッテやフィアに……
「……いや、ダメだ」
みんなを巻き込みたくない。
下手をしたら危険なことになるだろうから、俺がやるべきだ。
「できればハンナも安全なところにいてほしいんだけど、彼女はもう知っちゃったからなあ」
できる限り、俺が前に出て危険なことを担当しよう。
「……ん?」
ふと、妙な魔力を感じた。
すぐ近くでもなくて、すごく遠くというわけじゃない。
中間の距離。
「学院内だな」
会場を後にして校舎に向かう。
魔力の流れを辿り、中等部の校舎へ。
そこからさらに、今は使われていないらしい空き教室へ移動した。
「これは……」
例の魔法陣が設置されていた。
淡い光を放ち、まだ稼働中であることを示している。
ただ、本格的に効果は発動していないみたいだ。
たぶん、力を貯めている最中なのだろう。
このまましばらく放置すれば魔法が発動して、また地震が起きるのだろう。
「本当ならメモ帳なんかにしっかりと記録を残しておきたいんだけど」
その間に魔法が発動したらまずい。
発動はしばらく先と見ているものの、その見立てが間違っている場合もある。
じっと見て、頭に記憶。
それから魔法陣に手を添えて、魔力を流して効果を阻害。
ビシッ!
鈍い音と共に魔法陣の一部が欠けて、光が消えていく。
破壊、成功。
放っておけば全体も消えて、完全に効果がなくなるだろう。
「大会中も動いていたか。これ、やっぱり……」
「あれ? こんなところでなにをしているの?」
ちょうど頭に思い浮かべていた人物……メルが空き教室に姿を見せた。