「よっと」
生体ユニットにされていたシャルロッテをゴーレムから引き剥がした。
「シャルロッテ、大丈夫か?」
「……」
「シャルロッテ!」
「……ぅ……」
強く呼びかけると、わずかに反応が返ってきた。
よかった。
はっきりとした意識はないけど、でも、死が真横に迫っているというほどじゃなさそうだ。
衰弱はしているものの、ゆっくり休めば回復するだろう。
「お嬢様!」
「レーナルトさん、シャルロッテのことをお願いできる?」
「はい、もちろん!」
フィアにシャルロッテを託す。
人一人、女の子が支えるのは大変だと思うけど……
でも今は、こうするのが正解だろう。
シャルロットを支えるのはフィアの役目だろうから。
「……さてと」
俺は残った仕事を片付けることにしようか。
「切り札はまだ残っているのか? それとも、もう終わりか?」
「ぐぐぐ……」
エイルマットは苦虫を噛み潰したような顔に。
刺すようにこちらを睨みつけるものの、しかし、なにかする様子はない。
やはり今のゴーレムが最後の切り札だったのだろう。
エイルマットに手の平を向けて、魔力を集める。
「おとなしくしろよ? 抵抗するのなら、容赦なく撃つ」
「ばかな……僕がこのようなところで終わるなんて、そのようなことがあっていいはずがない!」
「どう見ても終わりだよ」
「そんなはずはない! やるべきことがあるんだ。僕を軽視して、辺境に追放したブリューナク家に……あの女に復讐しなければならない、その権利があるんだよ!!!」
「うるさい」
「がっ!?」
あまりにも耳障りなことを言うものだから、我慢できず殴ってしまった。
「復讐? その権利? そんなもの、俺達には知ったことか!」
「な、なにを……」
「あんたは自業自得だよ。好き勝手やって破滅して、逆恨みをして、それのどこに大義がある?」
「な、なにもわからない子供が……僕がどれだけみじめで、悲惨な日々を過ごしてきたか……」
「だとしても、娘を道具にしていいわけないだろうが!!!」
どうしようもない怒りを覚えた。
他人のことなのに。
俺には関係ないのに。
でも、この男の行いに果てしない怒りを覚える。
「そうだ、シャルロッテは僕の娘だ。だから、親である僕はなにをしてもいいんだよ!」
「子供は子供、親は親。なにをしてもいいなんて、そんなことあるわけがない。そんな当たり前のことがわからないから、あんたは追放されたんだよ」
「ぼ、僕は……」
「なんかもう、怒りを通り越して可哀想になってきたな。こんな単純なこともわからないなんて……本当に可哀想なヤツ」
「や、やめろ……! 哀れみの目を向けるな、あの女と同じ目で僕を見るなっ!!!」
なにかトラウマを刺激してしまったみたいだ。
エイルマットは両手を振り回して叫んで、後ずさる。
幻でも見ているのか、なにかに怯えているようだ。
「やめろやめろやめろ、やめろぉおおおおおっ!!!」
そして、ほどなく限界に達して気絶してしまう。
「……ばかやろう」
最後までシャルロッテに対する謝罪の言葉はなかった。
こんなヤツが親なんて……
俺は拳を強く握リ、唇を噛んだ。
「……ん?」
ふと、嫌な感じがした。
倒れたエイルマットから黒いもやのようなものがあふれる。
それは生き物のように蠢いていた。
こちらを狙っているように見えるが、いったい……?
「ピーッ!」
アラム姉さんと一緒にいたニーアが大きく鳴いた。
こちらの肩に飛び乗り、翼を広げる。
それに反応するかのように、黒いもやが夜の闇に消えた。
今のは……
「……魔王?」
生体ユニットにされていたシャルロッテをゴーレムから引き剥がした。
「シャルロッテ、大丈夫か?」
「……」
「シャルロッテ!」
「……ぅ……」
強く呼びかけると、わずかに反応が返ってきた。
よかった。
はっきりとした意識はないけど、でも、死が真横に迫っているというほどじゃなさそうだ。
衰弱はしているものの、ゆっくり休めば回復するだろう。
「お嬢様!」
「レーナルトさん、シャルロッテのことをお願いできる?」
「はい、もちろん!」
フィアにシャルロッテを託す。
人一人、女の子が支えるのは大変だと思うけど……
でも今は、こうするのが正解だろう。
シャルロットを支えるのはフィアの役目だろうから。
「……さてと」
俺は残った仕事を片付けることにしようか。
「切り札はまだ残っているのか? それとも、もう終わりか?」
「ぐぐぐ……」
エイルマットは苦虫を噛み潰したような顔に。
刺すようにこちらを睨みつけるものの、しかし、なにかする様子はない。
やはり今のゴーレムが最後の切り札だったのだろう。
エイルマットに手の平を向けて、魔力を集める。
「おとなしくしろよ? 抵抗するのなら、容赦なく撃つ」
「ばかな……僕がこのようなところで終わるなんて、そのようなことがあっていいはずがない!」
「どう見ても終わりだよ」
「そんなはずはない! やるべきことがあるんだ。僕を軽視して、辺境に追放したブリューナク家に……あの女に復讐しなければならない、その権利があるんだよ!!!」
「うるさい」
「がっ!?」
あまりにも耳障りなことを言うものだから、我慢できず殴ってしまった。
「復讐? その権利? そんなもの、俺達には知ったことか!」
「な、なにを……」
「あんたは自業自得だよ。好き勝手やって破滅して、逆恨みをして、それのどこに大義がある?」
「な、なにもわからない子供が……僕がどれだけみじめで、悲惨な日々を過ごしてきたか……」
「だとしても、娘を道具にしていいわけないだろうが!!!」
どうしようもない怒りを覚えた。
他人のことなのに。
俺には関係ないのに。
でも、この男の行いに果てしない怒りを覚える。
「そうだ、シャルロッテは僕の娘だ。だから、親である僕はなにをしてもいいんだよ!」
「子供は子供、親は親。なにをしてもいいなんて、そんなことあるわけがない。そんな当たり前のことがわからないから、あんたは追放されたんだよ」
「ぼ、僕は……」
「なんかもう、怒りを通り越して可哀想になってきたな。こんな単純なこともわからないなんて……本当に可哀想なヤツ」
「や、やめろ……! 哀れみの目を向けるな、あの女と同じ目で僕を見るなっ!!!」
なにかトラウマを刺激してしまったみたいだ。
エイルマットは両手を振り回して叫んで、後ずさる。
幻でも見ているのか、なにかに怯えているようだ。
「やめろやめろやめろ、やめろぉおおおおおっ!!!」
そして、ほどなく限界に達して気絶してしまう。
「……ばかやろう」
最後までシャルロッテに対する謝罪の言葉はなかった。
こんなヤツが親なんて……
俺は拳を強く握リ、唇を噛んだ。
「……ん?」
ふと、嫌な感じがした。
倒れたエイルマットから黒いもやのようなものがあふれる。
それは生き物のように蠢いていた。
こちらを狙っているように見えるが、いったい……?
「ピーッ!」
アラム姉さんと一緒にいたニーアが大きく鳴いた。
こちらの肩に飛び乗り、翼を広げる。
それに反応するかのように、黒いもやが夜の闇に消えた。
今のは……
「……魔王?」