「金剛盾<シールド>!」
魔法の盾で炎を防いだ。
ただ、続けてゴーレムの拳が迫る。
「もう一回……金剛盾<シールド>!」
「なっ!?」
ゴーレムの拳も魔法の盾で防いだ。
「な、なんだ、そのデタラメな詠唱速度は……!?」
「さてね」
答えは簡単。
シャルロッテの真似をしたのだ。
詳細は知らないけど、彼女はやたら詠唱が早い。
想像以上に早い。
なら俺もできないだろうか? と、密かに特訓していたのだ。
その成果が実を結んだ。
「火炎槍<ファイアランス>!」
小刻みに魔法を連射してゴーレムを牽制する。
あわよくば蓄積されたダメージで……
なんてことを考えていたけど、そう簡単にはいかないようだ。
ダメージがゼロということはないけど、活動に影響はまったくない様子だ。
この調子だと、あと百発は叩き込まないとダメだろう。
生体ユニットにされているシャルロッテにどんな影響が出ているかわからないから、早く決着をつけたい。
うまいこと隙ができれば、一気に攻め込める。
そのための方法は……
「へぇ」
ふと、とあるものが見えた。
これならうまくいくかもしれない。
タイミングは彼女に任せよう。
「火炎槍<ファイアランス>!」
牽制の攻撃を繰り返す。
エイルマットは焦れてきているようだ。
俺の狙い通りなら、そろそろ突撃命令を出すはず。
「ええいっ、なにをしている! そのようなガキにいつまで手間取っている! 一気にたたみかけてしまえ!!!」
きた。
エイルマットの命令に反応して、ゴーレムが一気に前に出てきた。
それは隙だ。
ただ、俺は攻撃しない。
さらに大きな隙ができるのを待つ。
その瞬間を作ってくれるのは……
「火炎槍<ファイアランス>……!」
フィアだ。
突然、無警戒の方向から炎の槍が飛んできた。
これは完全に予想外だったらしく、ゴーレムはまどもに攻撃を受けてしまう。
「ばかな!? 今の攻撃は……」
「お嬢様を……返してください!」
フィアによるものだ。
さっき、わずかにフィアが動いているのが見えた。
すぐに目が覚めたのだろう。
そして、魔力を練り、タイミングを測っているのもわかった。
気絶するほどに消耗して。
でも、主のためにありったけの力を振り絞って。
最後の最後まで諦めない。
シャルロッテを想う力が引き起こした奇跡……いや。
そんな言葉で片付けたくないな。
単純に、フィアの想いが強かったのだ。
「レーナルトさん、ナイス!」
この二人は本当にすごいな。
その絆に思わず憧れを抱いてしまうほどだ。
思わず小さな笑みを浮かべつつ、前に出る。
フィアが作ってくれた隙を無駄にすることはない。
ゴーレムの背後に回り込み、人でいう背骨の辺りに手の平を当てる。
「雷撃掌<スタンショック>!」
効果は極小範囲。
でも、威力は中級魔法に匹敵する、雷撃をゼロ距離で叩き込んだ。
ちなみに、雷撃は風系統の魔法の応用で発生させることができる。
「……!?!?!?」
ゴーレムは全身を跳ねさせた。
ギギギ、と金属が擦れるような音。
あるいはそれは、ゴーレムの悲鳴だったのかもしれない。
ややあって、ゴーレムの頭部から瞳の色が消える。
同時に四肢から力が抜けて、その場で停止した。
「よし」
他の箇所と比べて背中の装甲が厚いから、もしかしたら人間でいう心臓のような急所が隠されているのかも? と予想したが、大正解だったようだ。
「レーナルトさん」
「は、はい……」
「ありがとう、助かったよ。おかげで、シャルロッテを助けられた」
「……はい!」
フィアはにっこりと笑うのだった。
魔法の盾で炎を防いだ。
ただ、続けてゴーレムの拳が迫る。
「もう一回……金剛盾<シールド>!」
「なっ!?」
ゴーレムの拳も魔法の盾で防いだ。
「な、なんだ、そのデタラメな詠唱速度は……!?」
「さてね」
答えは簡単。
シャルロッテの真似をしたのだ。
詳細は知らないけど、彼女はやたら詠唱が早い。
想像以上に早い。
なら俺もできないだろうか? と、密かに特訓していたのだ。
その成果が実を結んだ。
「火炎槍<ファイアランス>!」
小刻みに魔法を連射してゴーレムを牽制する。
あわよくば蓄積されたダメージで……
なんてことを考えていたけど、そう簡単にはいかないようだ。
ダメージがゼロということはないけど、活動に影響はまったくない様子だ。
この調子だと、あと百発は叩き込まないとダメだろう。
生体ユニットにされているシャルロッテにどんな影響が出ているかわからないから、早く決着をつけたい。
うまいこと隙ができれば、一気に攻め込める。
そのための方法は……
「へぇ」
ふと、とあるものが見えた。
これならうまくいくかもしれない。
タイミングは彼女に任せよう。
「火炎槍<ファイアランス>!」
牽制の攻撃を繰り返す。
エイルマットは焦れてきているようだ。
俺の狙い通りなら、そろそろ突撃命令を出すはず。
「ええいっ、なにをしている! そのようなガキにいつまで手間取っている! 一気にたたみかけてしまえ!!!」
きた。
エイルマットの命令に反応して、ゴーレムが一気に前に出てきた。
それは隙だ。
ただ、俺は攻撃しない。
さらに大きな隙ができるのを待つ。
その瞬間を作ってくれるのは……
「火炎槍<ファイアランス>……!」
フィアだ。
突然、無警戒の方向から炎の槍が飛んできた。
これは完全に予想外だったらしく、ゴーレムはまどもに攻撃を受けてしまう。
「ばかな!? 今の攻撃は……」
「お嬢様を……返してください!」
フィアによるものだ。
さっき、わずかにフィアが動いているのが見えた。
すぐに目が覚めたのだろう。
そして、魔力を練り、タイミングを測っているのもわかった。
気絶するほどに消耗して。
でも、主のためにありったけの力を振り絞って。
最後の最後まで諦めない。
シャルロッテを想う力が引き起こした奇跡……いや。
そんな言葉で片付けたくないな。
単純に、フィアの想いが強かったのだ。
「レーナルトさん、ナイス!」
この二人は本当にすごいな。
その絆に思わず憧れを抱いてしまうほどだ。
思わず小さな笑みを浮かべつつ、前に出る。
フィアが作ってくれた隙を無駄にすることはない。
ゴーレムの背後に回り込み、人でいう背骨の辺りに手の平を当てる。
「雷撃掌<スタンショック>!」
効果は極小範囲。
でも、威力は中級魔法に匹敵する、雷撃をゼロ距離で叩き込んだ。
ちなみに、雷撃は風系統の魔法の応用で発生させることができる。
「……!?!?!?」
ゴーレムは全身を跳ねさせた。
ギギギ、と金属が擦れるような音。
あるいはそれは、ゴーレムの悲鳴だったのかもしれない。
ややあって、ゴーレムの頭部から瞳の色が消える。
同時に四肢から力が抜けて、その場で停止した。
「よし」
他の箇所と比べて背中の装甲が厚いから、もしかしたら人間でいう心臓のような急所が隠されているのかも? と予想したが、大正解だったようだ。
「レーナルトさん」
「は、はい……」
「ありがとう、助かったよ。おかげで、シャルロッテを助けられた」
「……はい!」
フィアはにっこりと笑うのだった。