深刻そうなレオナルドの表情を見て、ソフィアは良い話ではない事を感じた。
「シオン様が背負っているあの聖剣は、使った者の命をエネルギーに変えて力を発揮すると言い伝えられています。あなたもあの時に感じたでしょう? 普通の剣ではありえない威力を。そして、まるでシオン様の命削るかの如くシオン様の体を覆った炎を。これは私の推測ですがあの聖剣を使うたび、寿命が奪われていく。無論、この事はシオン様もご存じです」
「そんな……」
 衝撃的な話に言葉を失う。それと同時に、シオンがなぜ聖剣があるのに使わず、自分で特注した剣を使っていた理由もわかった。
「私は、あなたを責めたくて伝えたわけではありません。シオン様は、あなたを心の底から大切な仲間だと思っている、と、だけ覚えておいてください」
「……わかりました」
 そんなリスクがあるにも関わらず、自分を救い出してくれたシオン。
 典型的な貴族の子息で、人をからかったりワガママ放題。
 そして今は『勇者』だからとソフィアは我慢するようにしていたし、内心シオンの事を心良く思っていなかったが、ただまだ子どもな部分が目につくだけで、本当は優しくて頼もしい存在なのだと気づかされた。
 言い伝えとはいえ、なんのためらいもなく自分の命を危険にさらしても、シオンはソフィアを助けた。
 それを知ってしまったソフィアは、シオンの言動について今までとは全く違う思いを抱きはじめた。