私は、先生、と呼ばれたくて。みいらさんが慕ってくれる、『いい作家』であるために。ずっと背中を見せてきたつもりでいた。それが彼女が字書きとしてデビューしてからはガラッと世界が変わった。背中を見せたら後ろから思い切り刺されたのだ。そういう感覚だった。ただ、投稿サイトが私の小説で埋まっていたのが一気に華やいで、界隈が活性化して作家が増えたのはいいことだと思っていた。自給自足でもいいけれど、書き続けてもたまに虚しくなる時がある。人が書いたものの美味しさを、今の界隈に来てから痛感した。ジャンルとしては中堅どころなのに、カップリングが過疎っていたのもあり、このまま私と片手で数える程度の人間しか居ないのだろうと思っていたら、みいらさんの布教力により人がどっと集まった。
ドライヤーを止め、ふと視線が本棚に行く。そこにある、自分の出した本。大して捌けないくせに、後からハマる人がいるかもと多めに刷ってしまった本だとか、そんなに部数を出さなかったのに一瞬で捌けた時の本だとか。1年でたくさん書いたものだ。思えば、こんなに好きになったカップリングは初めてだったかもしれない。飽き性で、ジャンルにハマっては1年もしないで抜けて新しいジャンルへ移動していた。今回は、違う。自分が一番上手く自カプを書ける自信があったし、やっぱり自分が書くものが性に合っていた。だからこそやってこれたのだ。
『当日遊びに行きます。お土産何がいいですか?』
『藤乃先生からのお土産ですか!?嬉しい~!何でも食べます!』
『何でもは困るよ~(笑)』
私は、『私を好きでいてくれるみいらさん』が好きだっただけで。別に、彼女個人についてはほとんど知らない。何でも食べます、っていうのをよく言うことと、自分のことは進んで話さないことだけは、知っている。
結局、私の実家のすぐ傍にある洋菓子店でかわいらしい感じのラッピングがされているお菓子を買った。みいらさんみたいだった。ピンクのリボン。うさぎの形のクッキー。通話で聞いた声は、甘くてふわふわとして、女の子らしい喋り方で。こういうのが好きそう、と勝手にイメージを持っていた。
ドライヤーを止め、ふと視線が本棚に行く。そこにある、自分の出した本。大して捌けないくせに、後からハマる人がいるかもと多めに刷ってしまった本だとか、そんなに部数を出さなかったのに一瞬で捌けた時の本だとか。1年でたくさん書いたものだ。思えば、こんなに好きになったカップリングは初めてだったかもしれない。飽き性で、ジャンルにハマっては1年もしないで抜けて新しいジャンルへ移動していた。今回は、違う。自分が一番上手く自カプを書ける自信があったし、やっぱり自分が書くものが性に合っていた。だからこそやってこれたのだ。
『当日遊びに行きます。お土産何がいいですか?』
『藤乃先生からのお土産ですか!?嬉しい~!何でも食べます!』
『何でもは困るよ~(笑)』
私は、『私を好きでいてくれるみいらさん』が好きだっただけで。別に、彼女個人についてはほとんど知らない。何でも食べます、っていうのをよく言うことと、自分のことは進んで話さないことだけは、知っている。
結局、私の実家のすぐ傍にある洋菓子店でかわいらしい感じのラッピングがされているお菓子を買った。みいらさんみたいだった。ピンクのリボン。うさぎの形のクッキー。通話で聞いた声は、甘くてふわふわとして、女の子らしい喋り方で。こういうのが好きそう、と勝手にイメージを持っていた。