布団に潜って泣いた翌日も、朝は来るし仕事には行かねばならなかった。私は相変わらず人付き合いが苦手だし、仲間も居ない。それでも人生は続く。
もう小説を書くのはやめようと思った。誰も見ないなら、必要とされないなら書かなくていいと。ジャンルも離れ、漫画やアニメに触れるのすら怖くなった。また何かを好きになって、その先で否定されたら?そう思うと、籠を出られなくなる。
ただ、怯えるばかりではいられなかった。みいらさんの励ましが無くても、私はしばらくすると自然とパソコンの前に座り、静かに物語を書き続けていた。そうしなくてはならないと、心臓が動く度衝動に突き動かされていた。ただ呼吸をするより、書いている方が酸素を頭に取り込んでいられたのだ。
誰にも届かなくても、私には届いている。それだけが何よりの喜びだった。
これで食っていくにはまだ技術が及ばない。もっと先へ行きたい。何にも縛られない場所で、好きなだけ自分の思いを文字にしたい。ちっぽけでも、決して絶えない炎が胸に灯っている。
いつか、私の物語で報われる人がいたらいい。自分が好きなものを好きでいていいと思えるような、そんな生きざまをしていたい。
その中にもしも、彼女がいたなら。
そこまで望むのは贅沢だろう。私は、秒針に背中を押されて電車へ乗り込んだ。
行き先は、出版社だった。