オス! おらニート!
 今年で34歳の無職のひっきーのデブだ。
 名は静谷(しずや) 福助(ふくすけ)

 趣味はエロゲ、バカゲ、アニメ、マンガ(主に成人)フィギュア(主にエロ)。
 痛部屋で親の年金で暮らすどうしようもないクソ野郎で、ご近所さんからは悪評をいただいているぜ。

 そんな俺だが、なぜか昨日の晩……。
 あれは確か大人気殺し屋ゲームの『ニンジャクリード』をプレイしていたときだった。
 一筋の雷が俺に直撃したんだ。
 文字通りな……。

 つまりは落雷。
 即死だったらしい。

 母さんは泣き、出費が減った親父は大喜び。
 している……姿が想像できる。

 幽体離脱てやつ? 俺の魂がどんどん青空へと昇り続けていくんだ。
 当の本人である肉体はアヘ顔で死んでやがる。

 そこは宇宙だった。
 一人の男がたっていた、宙……つまりは地球の上に。
 神々しいまでに光で覆われていて、両腕を組んでいる。

『少年……すまないことをしたな』
「え……」
 (俺は少年って歳じゃないが)

『私の名前はミスターサンダー』
「ああ、確か昔の特撮の……」
 (夢かこれ?)

『実は私が悪の敵をやっつけるために落とした雷がきみに……』
「あ!? お前、いまなんつった!?」
『すまない……とりま、罪滅ぼしをしたいと考えている』
「んで? どうしてくれんの? ハーレム異世界が待ってんの?」
『異世界? 私はこの地球の守り人ではあるが、そんな全能の神ではない』
「クソがっ! 使えねーな!」
(いや、マジで!)

「で、金くれんの?」
『は? 金? ヒーローは基本、見返りは求めないものだ』
「じゃあ、どうやって食っていくんだよ? って、俺はもう死んだのか……」
『幸いなことにまだ時間はある。罪滅ぼしとして生き返らせてやろう』
「お前、相当上から目線だな」
『……すまないと思っている。代わりといってはなんだが、私の能力を少し与えてやろう』
「いらねーよ、お前のって基本、ビリビリやってドッカーンだろ? ニチアサでも不評なシーズンだろ」
『子供たちからは未だに人気の能力なのに……とりま、生き返らせるぞ」
「え……」

 直後であった。
 俺の魂は地球にスピード落下。
 これは飛び降り自殺に似た感覚だ。(やったことないから知らんけど)

「ぶはっ!」

 起き上がるとそこはいつもの世界だった。
 つまりは痛い部屋に戻ってきた。
 だが、何かが違う。

 パジャマが小さい……。いや、俺がデカくなっている!
 身長だけじゃない、ブヨブヨだった腹も引き締まり、まるでボディビルダーのような姿だ。
 恐る恐るスマホで自撮りを試みる。

「なにこのイケメン……」

 そこにいたのはかつての若かりし頃の俺。
 つまりは学生時代の俺だった。
 プラス筋肉というアーマー付き。
 
「誰がこんな暑苦しい人間しろつったんだ! あんのバカ!」

 そうこの物語はヒキニートだが、ひょんなことからヒーローになる青年……じゃなかった中年の物語である。