その日のHRが終わったあと。
スマホを確認すると、「メッセージ一件」と表示されていた。
「えっ、もしかして……」
周りに誰もいないことを確認して、アプリを開く。
【はじめまして、こんにちは。フォローいただきありがとうございます。そして、写真を褒めてもらえて嬉しいです。すごく嬉しいです。こんな僕の写真でよければ、ぜひ見ていただけると嬉しいです】
返事と共に私のアカウントまでフォローしてくれていた。
そのおかげで、今までずっと0だった数字が1に増えていた。
「うそっ、嬉しい……」
まさか私の何もつぶやいていないアカウントをフォローしてもらえるなんて想定外すぎて、ここが教室だということを忘れてガッツポーズしてしまう。
「三好さん、何してるの?」
席と席の間を歩いてくる小沼さんがクスッと笑いながら立ち止まっていた。
「あっ……う、ううん、なんでもない……!」
挙動不審に誤魔化すと、「へーんなの」と言って笑ったあと、「じゃまたね」と続け様に言うから、自分に言われているのかと気づかなくてぽかんとして。
〝また明日〟と言おうと口を開いたときには、すでに小沼さんの姿は廊下へと消えていた。
私ってば、ほんとにタイミング悪いし人としゃべるのが下手くそだ。
「……せっかく仲良くなれるきっかけだったかもしれないのに」
なーんて思っても、小沼さんはきっと私をからかっているだけに違いなくて。友達になりたいとかそういうわけじゃないよね。
だって本を返すのを頼まれたり、今みたいにからかわれたり。多分、私は都合よく使われるだけ。
「電気消すぞー」
男の子の声が聞こえるから「え、あっ、ちょっと……」待って、と言う前に、パチっと小さな音がして電気が消える。
そのせいで少しだけ暗くなる教室。
そして、気がつけば周りに人はいなくなる。
「私ってそんなに影薄いのかなぁ……」
そりゃあ、みんなみたいにキラキラしてないし目立たないし、友達もいないし、ひっそりと過ごしてるかもしれないけど。