美人二重面奏

 「もう、どうやったらバズるんだろー?」

 レモン、いや亜津子の言うこともごもっともだ。「バズってくれ」と言われても、具体的に何をしていいのかわからないまま、近くのカフェで3人だけの作戦会議を開いていた。

 「『それぞれのキャラ』って言われても、うちらイメージカラーしかないしね。」

 スカイ、いや佳奈の言う通り私たちは色以外のキャラ付けができていない。

 「うちはダンス得意だから、踊ってみた動画、とにかくあげてみようかな。」

 亜津子は小さい頃からダンスを習っていて、私たち3人の中では唯一の「経験者」。仮面をつけてもそのスキルは健在で、レモンをイメージした「初恋レモネード」はハードなダンスが見せどころとなっている。

 「じゃあ私は歌ってみたかな。」

 スカイをイメージしたベビーフェイスの2曲目「青春ブルースカイ」は事務所に所属して初めてプロに作詞作曲してもらった曲で、スカイをメインボーカルにした大人っぽい曲になっている。確かに佳奈が歌うと全てが佳奈の色になって、キャラ立ちができていると思う。

 「じゃあ、私はなにができるんだろう?」

 「え、なに言ってんの」と言わんばかりに、亜津子と佳奈は顔を見合わせている。

 「さおりはべビーフェイスでいればそれでいいじゃん。」

 「そうそう、さおりがベビーフェイスだからベビーフェイスにしたんだし。もう、存在がアイドルだから大丈夫。」

 目は大きくて化粧をしなくてもぱっちりしている。ほっぺがぷにっとしていて、唇もリップクリームの力を借りているけどぷるんとしている。

 「そうかな?」

 うんうんと2人は私の方を温かい目で見つめている。

 「まあ、何かキャラ付けっていうなら、リプ返とかどう?」

 「いいね。やっぱファンサだよね、ベビーピンクは。」

 スカイの提案にレモンが同意している。2人から見ると私はファンサのアイドルなのか。