美人二重面奏

 「さおりちゃん、お疲れ!」

 「お疲れ! 怜くん。ちょっと待ったかな?」

 「ううん。全然、って言いたいところだけど、楽しみでもう1時間くらい前からここに居た。」

 「えええ! ごめん寒かったでしょ。」

 あの激動の学校祭から半年。全てを失った私は、全てを手に入れていた。
 大好き、と心から言えて、嘘偽りなく全てを話せる信頼できる恋人。
 もうそれだけでいい。

 仮面アイドルの仮面を外して見える世界はすごく軽やかで澄んでいた。

 「そういえば、最近悪口のメッセージ来てないな。」

 「そうだね。よかったじゃん。」

 「うん、よかった。」

 こうして堂々と、クリスマスデートができている。もう悪口に振り回されることもない。

 「辛い思いをしているさおりちゃんを支えられて、よかったよ。」