美人二重面奏

 翌日。
 朝の電車で昨日の妹と弟の温もりを思い出す。今日は4時間授業の後、午後は学校祭準備で、放課後は週末ライブの振り入れ。それだけで一日頑張れるくらいのパワーがある。
 ふと前の座席を見ると、何か違和感があるが、何だかよくわからない。雨が多い梅雨の終わりのはずなのにすっかり青空だからだろうか? 今どきの高校生ばかりなのに、スマホを見ている人がほとんど居ないからだろうか?

 「おはよ!」

 「おはよう。」

 玄関に差しかかるところで、藤子ちゃんが後ろから声をかけてきた。隣には見たことのない男子がいる。

 「あ、昨日休みだったもんね。私たち付き合うことにしたの。1組の永田龍樹(ながたたつき)くん。」

 「え、え、え!!!」

 1年生の頃から男の気配がまったく無い親友同士だと思っていたのに、彼氏ができてしまうとは…。

 「ほら、もうすぐガクサイじゃない? 実行委員で仲良くなってそういう流れになったの。」

 「ガクサイマジック?」

 藤子ちゃんと龍樹くんが同時にコクリとうなずく。付き合って2日目のはずなのに息ぴったり。
 そういえば校内で男女2人組で居る姿をよく見かけるようになった気がする。
 よくよく思い出すと、電車で感じた違和感は男女別ではなくカップルで座って居たからなのかもしれない。

 藤子ちゃんたちと別れ、独りで教室に向かう。またカップルだ。男子の二の腕に女子がベッタリほっぺをくっつけている。

 「不純異性交遊!」

 職員玄関からカバンを持って、寝癖がついている米澤赤福が叫んできた。例のカップルは慌てて距離を取り、微妙な空気を保って私の目の前を通り過ぎていった。

 「ヒッヒッヒ!」

 そんなカップルを見て米澤赤福は不気味にニヤついていた。