家への帰り道、歩きながら考える。
私はいつから杏莉のことが好きなのだろう。わからないけれど、こないだ会った時にはきっともう好きだったのだろう。
気づいてみればこの感情が大きくなるのもあっという間だった。
でも、相手は同性で友達だ。
きっと杏莉の事だからちょくちょく連絡をくれるだろう。でもそれにいつも通りに返信できる自信はない。
だけど同時に、メッセージのやり取りで自分の感情が本物なのかを確かめたいとも思った。
同性愛。日本ではまだ少数派であまり認められていなかった、気がする。
まさか自分が当事者になるなんて思わなくて。
少し驚いているけれど嫌な感じはしないし、そこまで気にしてもいない。
でも、杏莉に知られたらどうなのだろう。
杏莉がどう思うかはわからないし、仮に嫌悪感を持っていなかったとしても気まずくなるだろうしもう遊べなくなるだろうな、なんてことは安易に想像出来てしまって。
どうやら私はなかなかに難しい恋をしてしまったみたいだった。