楓へ
なんか、改めて楓に手紙を書くなんてちょっとおかしな気分だな。
私だって、中学三年生でこんなしっかりとした手紙、遺書をかくなんて思わなかった。
今だって、自分が死んでしまうなんて信じられないよ。
まぁ、前置きはここまで。
楓に伝えたいことがあって、この手紙を書いてるの。楓は私の大事な人だから。
楓、今までありがとう。
私が悩んでいたとき、真っ先に気づいてくれたよね。
それに、彼氏にもなってくれた。
ずっと、好きだったんだ。楓のこと。
今も昔も大好き。
楓は覚えてるかな?花火大会でデートしたときのこと。
楓はほんとに驚くくらい、スーパーボールすくいが上手だったね。だけど、金魚すくいは出来なかった。
私がからかったら、すごく顔を真っ赤にして面白かったな。
けど、真っ赤な楓より私は笑顔な楓が大好き。
楓がこの手紙を読んでいるとき、私はきっとこの世には居ない。
泣かないで、笑ってよ。私のために。
楓は笑顔が一番いいし、私は大好きだよ。
沙織より
この遺書を読んでから、二年の年月が経過した。