今日は授業ができる状況なわけがなく、白い紙が配られそれに知っていることを全部書き、そのあと一人一人呼び出されて先生たちと面談をすることになった。
そんな白い紙切れに全てを書くことは難しいから白紙で提出した。
面談を待っている間は出された課題をする。
こういうところにはすぐに頭が回って行動が早い先生たち。
出席番号順に呼ばれていき、教室に戻ってきた戸田さんとわたしの名前は飛ばされた。
後藤さんはまだ戻ってきていないけど、きっと面談はまだしていない。
それは前の人たちの話でわたしたちの名前が上がっていたからだということは推理しなくても簡単にわかる。
戻ってきたクラスメイトは泣いていたり面倒くさそうにしていたり笑っていたりと、反応はそれぞれだった。
一学期の時にターゲットになっていた子もなかなか戻ってこない。
やっと呼ばれたかと思えば下校時間を過ぎるほど話は続いた。
最初にクラスメイト全員からわたしの名前が出たのに、なぜ白紙で提出したのかを聞かれる。
続いてどんな状況だったのか先に聞いたクラスメイトの話をまとめてわたしに確認された。
みんなもちろん自分が悪者にならないように言っているから、流れはひどいものだった。
直接的な質問としては、いつからいじめられていたのか。
どんないじめを受けていたのか。
いじめられるきっかけや原因はあったのか。誰か相談できる人はいたのか。
今日はどんな経緯であんなことになったのか。
一から聞かなければいけないだなんて、先生は何ひとつ気づいていなかったんだと思い知らされる。
高校の教師なんてそういうもの。
担任ですらホームルームでしか会わないことも多い。
たくさんの人から話を聞き、照らし合わせてしか状況を把握できない。
それが現状だ。
まだこうしてみんなから話を聞くだけマシなのかもしれない。
高校は義務教育ではないためかあまり生徒の人間関係には絡んでこないから。
そんな教師に「つらかったね」なんて言われても、薄っぺらいその言葉だけで寄り添ったつもりになっていることが気分が悪い。
どうせみんなにも似たような寄り添っているつもりの言葉を口にしているんだ。
わたしを苦しめていたものにもきっと肯定しているんだ。
今生きているこの世界は濁っているのだから。