買い物袋がいつもよりが軽かった。

吐いた息は白く、木の葉は落ちきるこの冬。

彼が私のもとから離れていってしまったからだ。

「はぁ」と白い息を吐き出す。

空気は乾燥し、酷く寒いはずなのに目もとは赤く腫れ、なにか溢れるほどに潤っていた。

私の左側を歩き、袋の持ち手を分け合った彼はもう居ない。

いつもより買い物袋が軽かった。けれど、いつもより私の心と帰路につく足は鉛のように重かった。