「お前ら何やってるんだ!」

 激怒した教師数名が屋上のドアを開けた。またたく間に僕と姫花はバラバラに取り押さえられた。この後はきっと別室で事情聴取があって、親を呼び出されて、引き離される。僕の家ではきっと親戚中が一堂に会して家族会議が行われ、姫花の見送りに明日抜け出すことなんて不可能だろう。

 屋上から先に連行されたのは姫花だった。連れ去られる姫花に、僕はガラガラの声で叫ぶ。

「姫花!」

 姫花が振り返る。

「姫花は姫花だ!性別なんて関係ない!」

 姫花は泣きながら笑っていた。去り際に姫花がありったけの声で叫んだ。

「作ってよ、世界を壊す爆薬!」

「ああ、男と男の約束だ!」

 僕はこの夏、確かに君を愛していた。だから君のために、本当に世界を壊す爆薬をいつか必ず作ってやる。その暁には終末に、もう一度君に会いたい。