そして迎えた花火大会の日、姫花と会える最後の日。姫花は母親に浴衣を着せられたらしい。花柄の浴衣がとても似合っていて、口にはとても出せないがとても綺麗だと思った。僕は気づいてしまった。もう自分に嘘はつけない。僕は、姫花のことが好きだ。
ブルーハワイのかき氷を食べる姫花を見て思う。地球を象った青いグミを二人で食べて世界を壊したあの時にはすでに、姫花の虜だった。姫花は自分を男として扱って欲しいと思っているから、芽生えた恋心は何度も踏みつぶして見て見ぬ振りして蓋をした。
今日で姫花と会うのは最後だ。あと数時間、隠し通せば良い。あと数日で姫花は日本を発つのだから、なかったことにすればいい。世界を壊そうとした同志として、君の思い出に残れればそれでいい。
花火が上がる。夜空に大輪の花を咲かせた後、少し遅れて体を揺さぶるような音がする。
「世界の終わりも、これくらい綺麗だったら良いな」
僕はいつの間にか、花火よりも姫花に見とれていた。僕は姫花が好きだ。
「ねえ、栄介」
花火に見とれたまま姫花が言う。
「必ず作ってね、世界を壊す爆薬。ずっと待ってる」
その言葉は、僕の中のストッパーを壊した。
「姫花……!」
姫花の腕を掴み、引き寄せる。姫花が僕を見る。僕たちは数秒間見つめ合った。しかし、ぴゅーという音が連続して聞こえる。空を見上げると、何発ものフィナーレの花火が世界を壊すように弾けた。その音に我に返る。
ダメだ。言えないよ。好きだなんて。世界なんて壊れてしまえば良いけれど、君との絆が壊れるのは死ぬよりも怖い。
「栄介、どうしたの?」
不思議そうに姫花が問いかける。世界で一番愛しい君に嫌われるより怖いことなんて無い。そう思えたら、他のことは何も怖くなくなった。
僕は、「好き」という代わりに「あること」を姫花に提案した。姫花はきょとんとした顔で聞いていたが、最後には僕だけが知っているちょっと悪い顔をして笑った。
「いいね、それ。最高じゃん」
最後にもう一発、金色の花火が空を焦がした。
ブルーハワイのかき氷を食べる姫花を見て思う。地球を象った青いグミを二人で食べて世界を壊したあの時にはすでに、姫花の虜だった。姫花は自分を男として扱って欲しいと思っているから、芽生えた恋心は何度も踏みつぶして見て見ぬ振りして蓋をした。
今日で姫花と会うのは最後だ。あと数時間、隠し通せば良い。あと数日で姫花は日本を発つのだから、なかったことにすればいい。世界を壊そうとした同志として、君の思い出に残れればそれでいい。
花火が上がる。夜空に大輪の花を咲かせた後、少し遅れて体を揺さぶるような音がする。
「世界の終わりも、これくらい綺麗だったら良いな」
僕はいつの間にか、花火よりも姫花に見とれていた。僕は姫花が好きだ。
「ねえ、栄介」
花火に見とれたまま姫花が言う。
「必ず作ってね、世界を壊す爆薬。ずっと待ってる」
その言葉は、僕の中のストッパーを壊した。
「姫花……!」
姫花の腕を掴み、引き寄せる。姫花が僕を見る。僕たちは数秒間見つめ合った。しかし、ぴゅーという音が連続して聞こえる。空を見上げると、何発ものフィナーレの花火が世界を壊すように弾けた。その音に我に返る。
ダメだ。言えないよ。好きだなんて。世界なんて壊れてしまえば良いけれど、君との絆が壊れるのは死ぬよりも怖い。
「栄介、どうしたの?」
不思議そうに姫花が問いかける。世界で一番愛しい君に嫌われるより怖いことなんて無い。そう思えたら、他のことは何も怖くなくなった。
僕は、「好き」という代わりに「あること」を姫花に提案した。姫花はきょとんとした顔で聞いていたが、最後には僕だけが知っているちょっと悪い顔をして笑った。
「いいね、それ。最高じゃん」
最後にもう一発、金色の花火が空を焦がした。