『最後の日記』BIRTHDAY~君の声~

 私と彼は名前や見た目がなんとなく似ていた。
 私が春香(はるか)で彼は悠希(はるき)
 二人ともメガネをかけたショートカット。
 細身で身長もそんなに違わなかったので、後ろ姿で間違われたこともあった。

 私が仕事にも慣れてきた頃、休憩中に変な写真を撮って見せ合うのが流行った。
 カツラをかぶったところや変顔を携帯で撮ったり、旅行先で撮った写真が入ったカメラを持ってきてお互い見せ合いっこしたり……

 私もいたずらでビデオを撮られたり写真も不意打ちで撮られたが、嫌がりながらもなぜか楽しかった。
 ただ寝顔の写真だけは妙に恥ずかしくて、(どうしよう)と思っていたら、彼が 「いらないから消す」と言っていたので安心した。

 彼は私が持っていたビデオ機能付きカメラが気に入ったらしく、貸して欲しいと帰りに車で家まで取りに来たことがあった。

「はい、コレ」
「サンキュー」
「落として壊さないでね~」
「あんたじゃあるまいし」
「私は壊してません~爆発しただけだよっ。掃除もしたし……あ、あれか」

 電子レンジ事件後、私はまたやらかしてしまった。
 旅行のお土産のガラス細工をみんなに渡そうとカバンから出そうとして手が滑り、袋ごとガシャンと落としてしまったのだ。
 かわいらしい動物達は姿を見せる前に頭と足がもげ、恐ろしい造形になってしまった。

 みんなには爆笑されたが、(あげたかったな)と陰で落ち込んでいると、彼が持ち前の器用さで見事に接着してくれた。
(なんていいやつ〜)と感動したのも束の間、以後彼は年下のくせに「あんた」「おまえ」呼ばわりで事あるごとにからかってくるようになった。

「今度の出勤日に返す……やっぱ気が向いたら返す」
「なんだそりゃ」
「家、ここなんだ……丁度通り道」
「そうなんだ〜送ってくれてありがとね」

 それから私達は仕事帰りに、みんなで色々な所に行くようになった。
 私はそれらの出来事を忘れたくなくて日記を書き始めた。