そもそも、なぜこの森を囲む迷宮などというものが建てられているのだろう。まるで檻じゃないか。

「つまりここを出るには」

「迷宮の攻略が必須だということだ。しかし私ひとりではどうにもならなかった。我々四人でも厳しいだろう」

錬金術師としての俺の成長率がどれだけ高いといっても、リュカやフェリスのような固有種の力に届くには、どれだけかかるのかわからない。それに、フェリスにはまだ大事なことを聞いていない。

「フェリスは、まだ森を出たいと思っているのか?」

「もちろんだ」

フェリスは即答した。

「私とソラの利害は一致している。私はソラと共に森を出る」

「みゅ! ボクモ! ボクモ!」

ミュウが椅子で跳ねる。そんな話をしているうちに、食事が終わった。皿を片付けると、俺はステータス管理をすることにした。ここのところ、いろんなことがあったし、ステータスが伸びているかもしれない。

緑色の画面を開くと、見覚えのないスキルが追加されていた。



【紅蓮灼熱】

【絶対零度】



「……いつ手に入れたんだ?」

最近、こんな凄そうな魔石を《分解》した覚えはない。俺はスキルの詳細画面を開いた。



《紅蓮灼熱》

――すべてを焼き尽くす、強力な炎を発生させる。



《絶対零度》

――すべてを凍りつかせる、強力な冷気を発生させる。



「そうか!」