朝食は、フルーツサラダと干し肉のスープ。

「これで、ようやく森脱出の算段がついたな」

四体いる固有種の、半分が仲間になったのだ。つまり単純に考えれば、森の約半分を自由に通行できることになる。

「やっと、って感じだ」

俺が感慨にふけっていると、フェリスは熱いコロガリイモをハフハフと食べながら、言葉を返した。

「ソラは、この森を、ふむぐ、出たいの?」

「いつまでも森にはいられない。外の世界を見たいんだ」

フェリスはコロガリイモを飲み込んだ。コロガリイモはその名の通りその辺に転がっているイモで、粘りがあって大変舌触りがいい。

「私も、以前この森を出ようとした」

「どうしてまた。君は縄張りを守る固有種だろう?」

「この森は、広いとはいえ、閉じられた場所だ。だから縄張りを守らないと、自由を保てないんだ。私は外に出て、もっと自由を感じたかった」

「でも今ここにいるってのは、理由があるんだろうな」

「そうだ」

フェリスは柔らかく煮た干し肉を、むぐむぐと噛んで、飲み込む。

「この森は、迷宮と呼ばれる巨大な壁に囲まれている。ところどころに隙間はあるのだが、どう進んでも森に戻されるんだ。幻術のようなものがかけられているらしい」

「迷宮に幻術……か」