「ちょっ、フェリス、くすぐったいって！」

「動くんじゃない」

フェリスはそう言って、手のひら全体に軟膏を塗り広げた。たいした傷じゃないと思うのに、フェリスは熱心だ。

「そうは言っても、うひょっ、そこは弱いんだって！」

「ここがソラの弱点か？　克服しろ」

「そういう意味ではなくって！　んあっ！」

「………………」

気付けばリュカが、むっとした顔で俺を見上げていた。気付けば治療を忘れている、いかんいかん。

「ごめんリュカ、続けるね」

「あー、なんだか脇腹が痛くなってきた！　ソラ、軟膏を塗ってちょうだい！」

「でも脇腹に傷なんか」

「いいから！　目には見えないダメージがあるはずなの！」

「お、おう」

まあ、軟膏はたっぷりあるし、傷のないところに塗ったからって副作用はない。むしろ肌つやが良くなったりする。俺はリュカの脇腹に軟膏を塗り始めた。

「ソラ……もっと上」

「……ここ？」

「……もっともっと上」

塗る場所が、どんどん危険な領域に入ってきた気がする。

「あの、ここまでくると、おっぱ……」

「いいから揉んで……じゃなくて塗って」

きわどい。かなりきわどい。俺がおずおずと柔らかいところに指を伸ばすと、リュカの身体がぴくんと跳ねた。

「ひゃうんっ！」

「だ、大丈夫か？」