何かが、私を奮い立たせていた氷のようなものが、溶けていくこの感覚。

ソラの言葉が、耳朶の奥でリフレインする。

『俺は、お前の孤独を尊重する』

最初は悔しかった。

私の孤独を、知ったふうな口で語られることが、本当に悔しかった。

でも、初めてなのだ。

私の孤独を、理解してくれるものが現れたことは。

初めてのことだった――この感情はなんだろう。

私はこれまでずっと、この身を孤独に浸してきた。

けれども、けれども――孤独を認めてくれた唯一の理解者を、私は失いたくない。

この感情も、生まれて初めてのことだ。

「待って……くれ……」

思わず声に出ていた。

「私は……」

自分の言葉を、止めることができなかった。

「……お前たちの、力になりたい」

気付けば、竜王が人間の姿に変貌していた。信じがたい現象だ。この人間の力だろうか。現象自体も驚きだが、それ以上に驚きなのは竜王がそれを素直に受け入れていることだ。竜王が私を訝しむ様子を隠さなかった。

「……何をたくらんでいるの?」

「たくらみがあるかどうかは……」

私は人間を――ソラを見つめた。

「私にたくらみがあるかどうかは……ソラが判断することだ……」

すると竜王が更に問う。

「そもそも、なぜあなたがソラに協力するの?」

「お前にしてもそうだろう……お前はなぜそこの人間に協力している……」