私はソラの言っていることが信じられなかった。二匹の魔物と手を組んでいる人間が、孤独を語るなどと――私はますますこの人間が許せなくなった。

「御託はいい……殺せ……っ」

「俺にその権利はない」

ソラは言った。

「お前の孤独を侵す権利は、俺にはない」

私の孤独の、何を知っていて、そんな言葉を――。

悔しくて、あまりに悔しくて、涙が滲んでくるのがわかる。

私が毎夜、味わってきた、あの冷たさ。

それを、なんでお前が認めるんだ。

私は私の孤独を守るために、戦ってきたというのに。

「仲間を引き連れているお前が、どうして……」

「誰かの大事にしているものを土足で踏み荒らす気にはなれない。それだけだよ」

空はそう言って、草の塊のようなものを私の前に置いた。

「動けるようになったら、これに身体をなすりつけるといい。回復が早まる」

草の塊からは、あの、夜の匂いがした。

「俺は近いうちに、この森を出るつもりだ。これ以上迷惑はかけない。俺は、お前の孤独を尊重する。しばらくすれば、お前の孤独はちゃんと帰ってくる」

ソラは、私の目をまっすぐ見て言った。

「約束、する」

そう言って、踵を返した。

「さあ、行こう」

「わかった……」

竜王もミュウも、ソラに従い、歩き始めた。

緊張が解けた私は、胸の中で起こっている奇妙な変化に戸惑っていた。