それが私の生き方であり、死にざまだ。

「………………」

死を目前にしているからだろうか。

心に浮かぶのは、昨日の静かな夜の、あの冷たさだった。

なにも好きで戦ってきたわけではない。

あったのは、いやらしく群れる魔物どもに対する嫌悪感だ。

ただ、独りでいたかった。

自分独りの領域――そこには摂理も秩序もない。

ただ、静かな安寧だけがある。

私はそこに、身を浸していれば、それで良かったのだ。

見上げれば、小癪な策を弄した憎い人間の顔がある。

こいつに首を落されると思うと、悔しくて仕方がない。

しかしその人間は、あろうことか――私に頭を下げた。

「すまない、俺のせいだ」

人間は、言葉を続けた。

「俺が〈第五の存在〉なんだ。縄張りが崩れたのは、すべて俺の責任だ。だからお前は戦わなくてはならなくなった。本当に……本当にすまなかった!」

「何もソラが謝ることはないわ」

竜王が、ソラとかいう人間の後ろで低く声を響かせた。

「私たちは秩序のもとで、手を組んで、仲間になるべきなのよ。それこそ、生物としてのまっとうなあり方でだわ」

「俺は……そうとも言い切れないと思うんだ」

ソラは、私の顔を覗き込んだ。

「仲間を作ることも、孤独を選ぶことも……たぶんどちらも同じように大事なものだと俺は思う」