「俺たちは、なんとしても勝つ。そのためには、あらゆる手段を尽くすべきだと俺は思う」

「確かに……ソラの言う通りね」

リュカは俯いて、食事を終えた皿を見つめた。

「私は愚直過ぎたのかもしれない」

その様子があまりに深刻に見えたので、ちょっと励ましたくなった。

「リュカのそういう素直なところは、俺は好きだぞ」

俺のこんな言葉で、元気になってくれれば嬉しい。そんな気持ちでいると、リュカの顔が耳まで真っ赤になった。

「………………」

リュカが、そっぽを向いてしまった。機嫌を損ねたのだろうか。

「あの、怒らせるようなこと言ったかな?」

「……わかんないけど……なんだか顔が熱くなった……着替えてくる!」

そう言ってリュカはすたすたと寝室に帰ってしまった。

「やっぱり怒らせた……のかな?」

「リュカ、ウレシイ!」

ミュウが、ぽいんとすねに当たってきた。

「そうは見えなかったけどなあ……」

俺は皿を片付けながら、狼王との再戦について考えた。

「俺にも、武器がないわけじゃない」

リュカや狼王と比べれば、俺はちっぽけな人間に過ぎない。向こうがその気になれば、簡単に捻りつぶされてしまうだろう。

俺の武器は、あいつらの戦いを知っているということだ。岡目八目。戦っている本人たちからは見えないことが、外からなら見える、ということは必ずある。