そう言って、俺はリュカの手を握った。ミュウがぴょこんと跳ねる。

「ナカマ! リュカ! ナカマ!」

「そうだわ……仲間……」

リュカは再び、ミュウを撫でた。

「あなたたちの力を……貸して欲しい…」

彼女は真っすぐな目をして――少し涙ぐんでいた。

「さあ、今日のところはもう寝よう」

「うん……」

俺は横になったリュカに布団をかけてやった。それからミュウと一緒にソファーに横になり。電気を消した。ウルフか何かの遠吠えが聞こえた。

「ソラ」

暗闇の中では、囁くような声もはっきりと聞こえた。

「どうした?」

「本当に……ありがとう」

囁くようなその声は、まるで長い年月の孤独が、吐息となって混じっているようだ。

「……良い夢見ろよ」

「うん……」

彼女の寝息が聞こえるまで、俺はミュウを抱えて、じっと暗闇を見つめていた。





*  *  *





狼王は崖の下のねぐらで、じっと静かに身を伏せている。

夜風が、昼の戦いで負った火傷を冷やした。

狼王は冷たい孤独を味わっていた。

ずいぶん長い年月、こうしてきたのだ。

だからこそ、自分の孤独を侵す者は許せない。

摂理と秩序を説き、他の魔物との融和を押し付けてくる竜王。

そして、そもそも縄張りが乱れる原因となった〈第五の存在〉。

どちらも許しがたい。

崖の下では、魔物どもが群れを作って眠っている。