「そういや……」

俺は今まで抱えていた疑問を口にする。

「なんでこいつの姿はこのままなのに、リュカは人間の姿になったんだろうな」

ミュウはきょとんとした表情で、俺を見上げている。リュカは、おとがいに指を当てて、じっくりと考え込んでいる。

「おそらくはだけど、私が〈固有種〉であることと無関係じゃないと思う」

「固有種ってのは?」

「同族を持たない存在のこと。固有種は他の魔物と比べて高い魔力を持ってるの。誓約の首輪による強化で、私の魔力は一定値を超えたんだと思う。それで得たスキルで、こういう姿になったんじゃないかな」

ゲームで言うところの、進化ってやつかな。もしくは人間の姿を取る能力を獲得したのかもしれない。俺はリュカのステータスを開いた。緑色の文字で、能力がずらりと並んでいる。その中に《人化》というスキルが表示されていた。思った通りだ。

「何をそんなにじいっと見てるの? なんだかちょっと、落ち着かない……」

リュカは下を向いて、膝をもぞもぞさせている。

「ああ、ごめん。それはそうと」

俺は彼女の横顔を見つめた。

「狼王もリュカと同じ固有種なのか?」

「そう。私、白鯨、不死鳥、そして狼王……私たち四体が固有種よ」

ということは、狼王はウルフコマンダーの上位互換みたいな存在ではないってことだ。孤独な一匹狼。群れをなす魔物ではない。

「………………」