「んんんんんんしょっぱいいいいいいい!!」

「……勉強になったな」

俺はコップに水をたっぷり汲んでやった。リュカはそれをゴクゴクと飲み干した。それから俺はリュカの皿を取ると、モモイノシシから取っておいた出汁を混ぜて火にかけ、しょっぱい炒め物をスープにアレンジしてやった。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し、ってやつだ」

「スギタル……?」

「やりすぎはよくないってこと」

「そうか、勉強になるわ。塩は適量、ね……」

そう言いながら、おそるおそるスープを啜った。

「これも美味しいわ!」

「怪我の功名、ってやつだ」

「ケガノ……?」

「うっかりやっちゃったことが、却って良い結果をもたらしたこと」

「なるほど! ソラはいろんなことを知ってるわね!」

炒め物も予定外のスープも、リュカはたっぷりと楽しんでくれた。作り甲斐があるというものだ。

「ゴチソウサマデシタ!」

「うん! ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした」

俺が手を合わせると、リュカもそれを見て手を合わせた。

「郷に入っては郷に従え、ね」

そう言ってニコッと笑ったリュカを見て、はからずしもドキッとしてしまう。本当に表情が豊かだ。

「では腹もいっぱいになったことだし、そろそろ床につくことにするか」

そう言ってリュカは、床に寝転がろうとする。