「なるほど、それが礼儀ね。いただきます!」

満足そうなミュウと一緒に、リュカはフォークを思いのほか器用に操って、俺の料理に口をつけた。

「んむ! これは! むぐむむむ!」

「飲み込んでから喋ろうな」

「これは!」

くちびるにソースをつけて、リュカは叫んだ。

「不思議で……複雑で……今まで様々な食料を口にしてきたけれど……レインボーフルーツ、モモイノシシの風味、それらはわかるんだけど……こんな感覚は初めて!」

「なるほど、確かにあの図体で洞窟に入るのは難しいもんな」

と、合点がいった。

「……どういうこと、ソラ?」

「塩だよ」

「シオ?」

この辺りで、塩分を含んだ岩が採れるのはこの洞窟くらいのものだし、そこから塩を《精製》するには錬金術の力が必要だ。塩を口にしたことがないのは当然と言える。

「なるほど、シオというのね!」

「そこに入ってるのがそうだよ」

俺が塩壺を指差すと、リュカは素早く手に取って、炒め物に塩を振りまくった。

「ああ、そんなことすると……!」

「ソラもこうするといいわ! シオは最高!」

リュカはそう言って、塩が山盛りになった干し肉を口に放り込んだ。

「あむ! むごごごごごごご!」

目を見開いたリュカは、口元を押さえて悶絶した。

「こりゃは……こりゃはなんにゃ……!」

「それは〝しょっぱい〟って感覚だよ」