「すごい、中が明るい! あの小さな球の中で火が燃えてるわ! 人間は食料に火を通すと聞いたことがあるけど、あれがその道具ね!」

「人間の身体になったなら、たぶん料理も舌に合うだろ。適当に料理を作るから、ソファーで待っててくれ」

「うん! あ、柔かい! 藁の寝床の10倍は柔かい!」

リュカはミュウを抱いて、ソファーとクッションの感触を楽しんでいる。居心地の良い部屋を作って良かった。まさか客が来ることがあるなんて、夢にも思わなかった。

「さて、今日は何にするかな」

干し肉がそろそろ出来上がった頃だ。これを細く刻んで、シャキシャキ菜と一緒に炒める。それにレインボーソースを絡めれば完成だ。レインボーソースというのは、レインボーフルーツとモモイノシシの骨、そして塩を煮詰めたもので、割とどんな料理にも万能に使える。香草をちょっと添えて、お洒落な感じを出してみたりして。

「かぐわしい、それにこの美しさ……これが人間のエサ!」

「エサというか……料理って言ってくれると嬉しいかな」

「リョウリ、ね!」

リュカの大きな瞳が、キラキラと輝いている。こうして見ると、ほんとうにあどけなく見える。

「熱いから気をつけて食えよ」

「私を誰だと思っているの!? 獄炎竜リンドヴルムが熱を恐れるはずないでしょう!」

「イタダキマス!」

ミュウはそう言って、リュカをちらりと見た。