「そりゃさすがにおおげさだ。錬金術を使ったんだよ。ハズレスキルらしいけどね」

「ハズレスキルとはなんだ?」

「出来損ないってことだよ」

そんなことを言いながら家に入ろうとすると、リュカが立ち止まった。

「ん? どうした?」

「あなたはこの獄炎竜リンドヴルムと〈不断の契り〉を交わしたのよ」

リュカは家の中を見渡す。

「このイエを見て。これを作り上げた力が、出来損ない? あなたは自分の力を理解していない。それと……ひとつ言っておくわ」

そして、その鋭い目を俺に向けた。

「あなたの自嘲は、私をあざけることと同じことよ。心得ておいて」

プライドの高い、リュカらしい言葉だ。ちょっと、じんときた。

「わかった。無礼を詫びるよ」

「無礼というわけじゃないけど、ただ私は、ソラに気高くあって欲しいだけ……」

リュカはそう言って、そっぽを向いた。

「大事に想ってくれてるんだな」

「私の想い、とかは別よ」

背中を向けて、リュカは言った。

「ともかく、自負を持って。錬金術って、私にはわからないけれど、力を操る者としての自負を」

ハズレスキル持ちとして追放されて、どれだけの月日が経っただろう。リュカの激励に、胸が熱くなった。

「わかったよ、ありがとう」

「礼を言われる筋合いはないわよ」

俺は部屋にリュカを案内した。リュカは中に入るなり、感嘆の声を上げた。