それを聞くと、ミュウはぽいんぽいんと跳ねる。

「タイシタヤツ! タイシタヤツ!」

「そうか、たいした奴なのね。よろしく」

「リュウオウ! コワクナカッタ! リュカ! ヨロシク!」

ミュウの様子を見て、リュカはくすくすと笑った。表情がコロコロと変わって、可愛い。それはそうと。

「とりあえず、だ」

リュカに目立った傷は見えない。しかし、誓約の首輪で強化された分しかHPは回復していないはずだ。

「とりあえず応急処置はしておこう」

「助かるわ」

「ちょっとその……どこが痛む、とかある?」

「背中がちょっと痛むわね」

位置的にギリギリセーフな感じ。

「ちょっと、服をはだけてみて」

「こう?」

リュカは、はらりと服を緩ませて、白い背中が見せた。そこに走る痛々しい傷。俺はバッグから軟膏を取り出すと、傷に塗り込んだ。

「あとはじっくり休んだ方が良さそうだな。家に案内するよ」

「イエ?」

「つまりなんだ……ネグラだよ」

「ソラのネグラはイエというのね。どんなものか、興味深いわ」

偉そうに振舞ってはいるけれど、本当はそんなに楽な状態ではないだろう。俺はリュカを少しでも早く休ませてやりたかった。

洞窟の家に帰ると、リュカは口元に手を当てて驚いた。

「これが人間のネグラ! この森でこんなものを作り上げるなんて……伝説に聞く天宮みたい」