透き通った声が、炭化した広場に響き渡った。

「私も……この図体を肥やすだけの……命を食べて生きて来た……」

ひゅう、ひゅう、と、苦しげな呼吸が伝わってくる。

「でも……ひとつ約束して欲しい……」

深い息をひとつ吐いて、竜王は言った。

「私にかわって……どうかこの地を……平穏に……」

大気を震わせていた声が、次第に力を失っていく。

「すべては……摂理と……秩序のままに……お願い……」

「悪いが、すぐに返事はできないな」

竜王がカッと眼を見開いて、ミュウが飛び跳ねた。

「ソラ! ヒドイ!」

ミュウは、ぽいんぽいんと足に身体をぶつけて抗議する。俺はそれを宥めて抱き上げつつ、竜王の眼を見た。

「まずは謝らせて欲しい。俺はお前たちの戦いを、手出しもせずに眺めてたんだ」

「何故……謝るの……」

「目的があったからさ」

勇気を振り絞って、前に一歩踏み出した。

「俺はお前の命を救うことができる。ただし俺の仲間になることが条件だ」

ウルフコマンダーの魔石から得たスキル【共鳴】によって生み出される、誓約の首輪――これには契約を交わした相手を強化する力がある。ミュウがたくさん言葉を話せるようになったのも、この力のおかげだ。強化されるのは、竜王も例外ではないだろう。余剰のHPが発生すれば、瀕死の状態からも回復できる。



《構築》