ローブを着た男に一喝されて、女は玉座に目をやった。

「田中奈々でーす。てか何コレ。ドッキリにしちゃやりすぎじゃね?」

「黙っておれ、次はそちじゃ」

錫杖が示した次の人物は、とても大人しそうな女だった。膝に手を当てて大きくお辞儀をすると、艶やかな黒髪がしゃらりと光の帯を作った。

「野々村……舞と申します……」

彼女は、それ以上何も言わない。頭を上げると、不安げにあたりを見渡していた。

最後に俺が自己紹介をさせられた。如月空です、と答えた後、

「……ここは天国ですか?」

そんなことを尋ねると、王は笑い声を上げた。

「ここが天国に見えると申すか! この城はあの伝説的建築士クェルタが設計し、天井画はアルハムクが描いたものじゃ。天国と見えても不思議はあるまいて」

「はあ……」

とりあえず、ここは天国ではないらしい。俺はトラックに轢かれて死んだわけじゃないのか――。

「では、早速ご準備のほどを……」

グレーの服に金ボタンを付けた男たちが、気がつくと現われていた。彼らは王やローブの男と違って、俺たちに丁寧に接してきた。

「ステータスを開いていただけますか?」

「「はあ?」」

とふたり声をそろえたのは、ギャルとギャル男で、俺を含めた残り三人は、きょとんとしていた。