「しまッ……」

三秒――【豪力】解除。

今の俺の力では、この剣を引き抜くことはできない。

そして背後に鋭い殺気――最後の一匹だ。

ウルフコマンダーの爪は、通常のウルフとは比較にならないほど強力だ。

下手をすれば、一撃でやられかねない。

万事休す。

最期を覚悟しつつも、俺は死したあぎとから、剣を抜こうと踏ん張る――その瞬間。



――ギャインッ!



ウルフコマンダーが悲鳴を上げた。

その瞬間、ミスリルの剣が牙から解き放たれる――俺は背後を振り返った。

「お前!」

ウルフコマンダーに一撃を喰らわせたのは――あろうことか、ミュウだった。

よほど強力な一撃だったのか、ウルフコマンダーは泡を吹いてひっくり返っている、その喉に、俺はミスリルの剣を深々と突き刺した。



――ゲブッ、グルルゥ



すべてのウルフコマンダーが絶命した。

間一髪だった。

「怪我はないか?」

得意げにぽいんぽいんと跳ねるミュウの様子を見る限り、攻撃を受けた様子はなかった。

「隠れてろって……言ったのに……」

こいつがいなければ、確実に死んでいた。

「……ありがとうな」

もう残っているウルフはいない。俺はミスリルの剣を収めると、ミュウを抱え上げた。

「さすがは、俺の相棒だ……」

そんなことを呟いてみる。すると――。

「アイボー!」

喋った!