ミュウのステータスを見ると、なんと【毒耐性】という見覚えのないスキルが追加されていた。

「これがお前のスキル……」

【食いしんぼう】なんてスキルが、これほどすごいものだとは。食べたものを自分の力にする。これって、この森の生態を考えると、かなり強力な能力なんじゃないか?

そんな驚きを意に介する様子もなく、ミュウは俺にじゃれついてくる。

「猛毒茸を食べてダメージを受けないってことは、実質何を食べても問題ないわけだ」

こうなったら、とにかくなんでも食べさせてみよう。俺は狩りにミュウを連れて行って、俺が食べられるものも食べられないものも、片っ端から与えてみた。リードワイスの茎、ヘラレンケの蟲肉、忘れゴマ――ミュウはなんでも喜んで食べる。といっても、俺の料理ほど喜んでくれることはなかったけれど(ちょっと嬉しかったりする)。

何日もそんな食料採集を続けた、そんなある日のこと。俺たちはネリーの花を採取しに、ひらけた場所に来ていた。こういうところは遮蔽物がなくて危ないんだけれど、ネリーの花は陽の当たる場所にしか咲かないのだ。

「干し肉を作るとき、これで香りづけをすると美味いんだ。おまけに体力回復も早くなる」

ザ――と、小さな音がした。

「!」

俺は即座に食料カゴを放り出し、ミスリルの剣の柄に手をかける。小さな音が、どんどん増えてくる。囲まれている――!