気付けば、ミュウはもう器いっぱいに盛られた肉をたいらげていた。よほど美味かったらしい。あぐらをかいたおれの膝に、ぷにぷにと頬擦りをしてきた。

「おお、そんなに美味かったか。レパートリーも増やしていかないとな」

「みゅ!」

ミュウは洞窟の入口に何かを見つけたのか、ぽいんぽいんと跳ねながら向かっていく。

「何があったんだ?」

俺がミュウについていくと――そこにあったのは、あの禍々しい模様の猛毒茸だった。ここに罠として仕掛けたときに、胞子が落ちたのだろうか。気付かない間に自生していたのだ。

「おい、それに近付くと……」

「?」

止める暇もなかった。ミュウはあろうことか、猛毒茸をぱくっと飲み込んでしまったのだ!

「しまった!」

俺はミュウをひっつかむと、身体の中になんとか手を突っ込んで猛毒茸を吐き出させようとした。しかしミュウの透明な身体の中で、猛毒茸はあっという間に消化されてしまった。いま、猛毒を治療できるようなアイテムはない。俺は得たばかりの仲間を、もう失ってしまうのか? しかし。

「みゅ♪」

ミュウは、平然と俺の腕に飛び乗ってくる。ゴブリンジェネラルを一瞬で死に追いやった猛毒を、コイツは当たり前のように無効化したのだ。

「こいつ……実はけっこうすごい奴なのかも」

といっても、こう見えて毒状態になっていたりする可能性はある。



《鑑定》