「待っ……!」

 ヴァージニアがなにかを伝えようと手を伸ばす。しかしその指が、アランに触れることはなかった。アランの体は、ヴァージニアの涙とともに、光の粒となって、吹き抜ける風にとけていった。


舞うはなびらが、ヴァージニアの髪をなでた。


  *  *  *


 気づけば俺たちは、アランの祠の前に倒れていた。ネコたちが心配そうに俺の顔を覗き込む。俺の手には、アランの〈魔石〉が握られていた。


  *  *  *