俺と同じだ。森の片隅に放り出されて、魔物に襲われて、逃げ回って、傷付いて――。

「………………」

思わず、俺はミラクルスライムに話しかけた。

「……来るか?」

「みゅ!」

ミラクルスライムは、ぽいんっと跳ねて俺の胸に飛び込んで来た。

「ちょっと、足場危ないんだから……」

俺が抱え上げると、ミラクルスライムは嬉しそうに身体を揺すった。

「ほら、降ろすぞ」

それから食料を集めている間、ミラクルスライムはずっと俺について回ってきた。そしてとうとう、洞窟にまでついてきた。

「……まあ、来ちゃったものは仕方がないか」

「みゅ!」

ぽいんと跳ねて、ミラクルスライムが鳴く。俺はこのミラクルスライムをミュウと呼ぶことにした。

毛皮の敷物に腰を下ろして、カゴの中の食料を広げる。レインボーフルーツ、モモイノシシの肉、サザンの実――ミュウは、そのひとつひとつに駆け寄って、ぷるぷると震えながら興味を示していた。

「一緒に食うか」

俺は固いサザンの実を石でカチ割って、柔らかい中身をミュウに差し出した。

「!」

ミュウは、俺の指をゲル状の身体で包み込むようにして、サザンの実を食べた。指先がちょっとくすぐったい。俺もサザンの実を口に放り込んだ。レインボーフルーツは長持ちするし、モモイノシシは干し肉にするつもりだ。

「なにはともあれ、だ」