再び響く声。その主は、紫色のローブを着て、長い杖を持った老人だった。短い階段が玉座へと続いていて、そこには王冠を被り、髭をたくわえた男が座っていた。

「勇者召還は四人と聞いていたが、五人もおるな。まあ数が多くて困ることはないだろう」

五人――俺は立ち上がって、再び周囲を見渡した。こんな場所にそぐわない、現代的な恰好をした奴らが、俺の他に四人いる。

「そちら、名を名乗れ」

王が錫杖で、ひとり目の男を指した。

「ここはいったい……」

男は動揺している様子だったが、それは俺も変わらない。

「名乗れと言っておる」

王が男を睨み付けた、

「佐藤明です……気づけばここにいました。状況の説明をお願いしたい」

この場でそう言えてしまうのは、ちょっとすごい。ルックスもイケメンだ。

「それは後からで良かろう。次はそちじゃ」

次に錫杖が指したのは、チャラそうな金髪の男だった。

「はあ、山本寛治ッス」

こう言うと失礼かもしれないけれど、さっきの佐藤のような知性はみじんも感じられない。彼はスマホをいじりながら吐き捨てた。

「電波来てねーじゃん」

「次はそちじゃ」

指をさされたのは、ブラウスの胸元を大きく開いた女だった。原色のブレスレットをチャラチャラ鳴らしながら、やはりスマホを見ている。

「マジじゃん、電波立ってねー」

「名乗らんか!」