「どうやら、お前が最後らしいな」
やはり、残ったのはウルフコマンダーだった。ウルフコマンダーは悔し気に低く唸ったが、戦意を失った様子はない。
「ちょいと、じっとしててくれよ」
俺はそっとミラクルスライムを、落ち葉の中に降ろした。
「一騎打ちといこうじゃねえか……」
――グルルルルルルルゥ……ガァッ!!
たった一匹でも、俺を仕留める自信があるらしい。ウルフコマンダーは真正面からこちらに飛び込んで来た。かなりのスピードだ。しかし――勝負は一瞬。
【阿修羅】ッ
無数の斬撃が、ウルフコマンダーの肉をズタズタに切り裂いた。もとの形を失うほどの攻撃を受けたウルフコマンダーは、岩に叩きつけられて絶命した。それと同時に、魔石が吐き出される。
俺は魔石を拾うと、罠から伸びる太い縄の一本を剣で断ち切った。
――ギャウ!
罠から解放されたウルフたちが、ドサドサと地面に落ちてくる。ウルフどもは、当然ながらすっかり戦意を失っていた。俺はミスリルの剣を振るって、目の前の太い枝を音高く切断する。次はない――というメッセージだ。
――キャウウン……
ウルフたちは尻尾を巻いて、森の奥へと去って行った。
「よし……もう大丈夫だぞ」
俺は魔石を拾いながら、ミラクルスライムに声をかけた。
「………………」